博多〜釜山 その6(3/19:塩ホルモン)


さて、どこで食べるか。
昨日見かけたホルモンの店が気になる。
その一方で『地球の歩き方』も参考にしてみる。
「プピョン・ヤンゴプチャン」
この界隈でうまいホルモンを食べたいなら迷わずここ、と書かれている。
そこにしてみるかと歩いていく。
17時前。狭い通りを屋台を引いて歩くおっちゃんがいる。
狭くて、ごちゃごちゃしてて、立ち話世間話の花があちこちに咲く。
着いてみると、昨日見かけた店が正に「プピョン・ヤンゴプチャン」だった。
自分の嗅覚のよさに嬉しくなる。
客はいなかったけど開いてたようなので入ってみる。
http://www.arukikata.co.jp/city/PUS/gourmet_2.html


日本人? と聞かれて「日本人」と答えると日本語のメニューが出てくる。
メニューといってもホルモン焼きの塩とキムチ、ホルモン鍋の3つのみ。
それを大中小のサイズで選ぶ。塩の小(1〜2人前)にする。
小でも25,000ウォンとなかなか高い。ビールも頼む。3,000ウォン×2本。


店のおばちゃんに「ジシン、タイヘンダタ?」と聞かれる。
「トウキョウカラキタ、デモ、ジシン、ダイジョウブダタ」
となぜかこちらも片言の日本語で返す。


折り畳まれた白い紙を取り出して、広げると真ん中に穴が空いている。
焼肉屋のエプロンかと思いきやテーブルの上に敷いた。
テーブルの真ん中に開いた円形の焼くところがすっぽり収まるようになっている。
おばちゃんはこれでもかこれでもかとおかずを運んでくる。
ピーナッツ、セロリのような色をした大根の漬物、キャベツのサラダ、
生のにんにく、青唐辛子とにんにくの漬物、水キムチ、ケジャン…
これだけで腹いっぱいになりそう。もったいないから全部食べる。


おばちゃんが皿いっぱいにホルモンを盛って現れる。他にジャガイモとエリンギと。
これを焼いてくれる。小腸やエリンギを鋏でジョキジョキと切る。
食べ頃になると僕の方に寄せる。ニンニクと塩、油のタレに付けて食べる。
アツアツでプリプリ。なのにふわっと柔らかい。
こんなジューシーなホルモン、食べたことない。なんなんだろ? 素材の差??
とにもかくにも、いやー鶴橋で食べたホルモンよりもうまかった。
このホルモンといい、パジョンといい、昨日の辛い鍋といい、
なんで釜山はこんなに食べ物がうまいんだ?
ただ食べ歩くためだけに釜山にまた来るのはありだな、と思う。
(ただしそのときは1人じゃなくて、数人でワイワイ言いながら食べたい)


食べ終えてホテルに戻ってくる。
まだ19時になったばかり。
ほろ酔いの僕は「今日はもういいか、釜山堪能した」と思う。
ホテルの1階の「Angel-in us coffee」に入る。
おしゃれな店でボサノヴァが流れている。
都会風のカップルや女性1人の客ばかり。
僕はカフェラテ(4,600ウォン)を飲みながら
この日1日移動の合間にずっと読んでいた『カタロニア賛歌』の続きに浸る。
ジョージ・オーウェルは学生時代に『1984』を読んで感銘を受けたが、
こちらもまた心にグッと来るものがあった。
いつかどこかで書きたいけど、スペイン内戦はいろんな意味で興味深い。
ロシア革命第一次世界大戦と並ぶ、20世紀前半の大きな転換点だったんだな。


部屋に戻ってきてもずっと読み続けて、22時頃だろうか読み終わる。
昨晩買ったバドワイザーのもう1本を飲んで、
空けると下のコンビニで焼酎を小さな瓶で買って。
1,400ウォンと安くて、水で割らずにそのまま飲める。
韓国ではこういう焼酎を「ソジュ」と言うらしい。


「世界の名峰 グレートサミッツ「マッキンリー〜極北の偉大なる山〜」」
というNHKのドキュメンタリー番組を見る。
マッキンリーの頂上でギターを奏でるのが夢だという登山家の父親と
初めてマッキンリーを登る娘の話。


NHKのニュースをぼんやりと眺める。
テレビの向こう、海の向こうの出来事。
記者会見とヘリコプターから映した上空の映像と。
韓国のニュース番組もいくつか、そんな感じ。
23時ぐらいになって、眠る。


地下鉄のホームのモニターでクーポンサイトの広告を見る。
韓国でもはやっているのか。「Coupang」という名前だった。