小学校を見学する

日曜、近くの小学校の前を通り掛かったら見学会が開催されていた。
この日の午後のみ。最初で最後。
上履きと、外履きを入れる袋をご持参くださいとあったので
1度家に戻ってスーパーの袋に上履きっぽく見える白いスニーカーを入れて小学校へ。


身近に存在する公共の建物なのに、
ある時期自分もそこで、あるいはそこに類するもので長い時間を過ごしていたのに、
大人になってしまうと入れなくなってしまうという不思議な建物。
このご時勢ならば特に。
(本当に)母校の卒業生ですって言ってもたぶん見学させてくれないでしょ?


僕はここの卒業生でもなんでもないけど、
ここ何年か昔の校舎が壊されるところから工事が完了されるまで
毎日会社の行き帰りに眺めていた。
だから妙に親近感が湧いていた。


中に入る。上履きに履き替える。
受付で名前と電話番号を書いて番号の書かれたカードを受け取り、首からぶら下げる。
目の前にあった階段で2階へ。
1年生の教室。
実物大のミニチュアのよう。こんなに小さかったっけ? 机もおもちゃ。
3月末で入学式を迎える前の教室はまだガラーンとしていて子供たちの存在感がない。
上級生が描いた「にゅうがくおめでとう」の絵文字だけが後ろの掲示板にカラフルに。


図書室があって本棚が並んでいるんだけど、唖然とするほど少ない。
僕が小学生だったときには確実にもっとあった。
これって時代の差なのか、東京と青森の差なのか。
今時の子供って本をまったく読まないからなのかな。
校歌の作詞をしてるってことで谷川俊太郎のコーナーがあった。
図書室の奥にコンピューター室。こっちのほうが立派に感じられる…


2階の一角から「アリーナ」へ。
今、体育館とか講堂って言わないんですね。
2階から見下ろすと終業式が行なわれたまま時間が止まっていて、
椅子も並べられたまま。式次第が貼られていた。
そのまま再来週には入学式が行なわれるのだろう。


2階の真ん中からテラスへ。この辺りが21世紀の東京の小学校らしく、おしゃれ。
公立の学校なのに、デザインをそれとなく重視してゆとりのある感じ。
僕の通ってた青森市の小学校は新築でも質実剛健な造りだったが…
(それまでは木造だった)


4階まで上がる。住宅街を見下ろす。
もう10何年も住んでいて、この高さから荻窪を眺めるのは初めて。
これが今回最も新鮮な出来事だった。
なんて事のない普通の住宅地が遠くまで広がっている。
池袋方面にビルが見える。鉄塔や焼却場の長くて白い煙突のようなもの。
これが「東京」なんだよなあ。


4階のデッキをグルッと回ってみる。
プールがこんなところにある。既に水がいっぱいに貼られていた。
中に入る。上級生の教室。水槽。グループ学習室。
雑然として机の上の荷物や箱が片付けられていない教室と
きちんと片付いている教室とがあるのは担任の性格の違いか。


屋上に上がってみる。
ソーラー発電パネルが据え付けられていた。利用されているのだろうか?
ここには大勢の人たちがぶらぶらと集まっていて、
「あ、どーも」なんて挨拶している。
ここを卒業したと思われるお年寄りのグループや
中高生の子供を伴った家族連れが多かったように思う。


地下の郷土資料室(古い電話機やひな飾りなど)なんてのを見てから、
外に出て帰った。
子供たちの姿はなし。大人たちが物珍しそうに眺めてる小学校。