こんなサントラを持っている その10

この辺で区切ろうかと最初は思ったのですが、まだまだ行くことにしました。


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□『The Best of Bond』


『007』シリーズの主題歌を集めたCDがあったらいいのに、と思っていたらあった。
ドクター・ノオ』から『ワールド・イズ・ノット・イナフ』まで全22曲とお徳。
かつ、優れもの。その時々の旬な人を起用するので、
ほんとゴージャスなセレクションなんですね。
曲目をいくつか抜き出すと、


Carly Simon「Nobody Does It Better」(私を愛したスパイ
Duran Duran「A View to A Kill」(美しき獲物たち
Sheena Easton「For Your Eyes Only」(ユア・アイズ・オンリー
Paul McCartney & Wings 「Live and Let Die」(死ぬのは奴らだ
Rita Coolidge「All Time High」(オクトパシー
a-ha「The Living Daylights」(リビング・デイライツ
Nancy Sinatora「You Only Live Twice」(007は二度死ぬ
Tina Turner「Goldeneye」(ゴールデンアイ
Sheryl Crow「Tomorrow Never Dies」(トゥモロー・ネヴァー・ダイ)
Moby「Tomorrow Never Dies」(トゥモロー・ネヴァー・ダイ)
Garbage「The World is not Enough」(ワールド・イズ・ノット・イナフ


書き写していたら無性に見返したくなった…


このアルバム、似たようなのでもう一世代新しいのがあって
そちらには MadonnaDie Another Day」も収録されている。さらに豪華。


今見ていたら Tina Turner「Goldeneye」って
作曲が U2 のボノとエッジとなっていた。知らなかった。


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□『Zabriskie Point』


ミケランジェロ・アントニオーニ監督『砂丘
とても好きなサントラで、昔よく聞いた。
Pink Floyd の未発表曲が3曲。
特に、最後の爆破シーンでの「Come In Number 51, Your Time Is Up」における
ロジャー・ウォータースの絶叫。Pink Floyd のなんたるかがここにある。
それだけじゃなく、ジェリー・ガルシアも2曲。
『Live/Dead』からの「DarkStar」の抜粋と、リリカルなギターソロ「Love Scene」
後者の流れる場面、名前の通り全裸の男女が砂漠のあちこちに…
ジョン・ファーヘイや、デイヴィッド・リンドレー率いる The Kaleidscope の曲も。


ミケランジェロ・アントニオーニだと『欲望』の方が
映画としてもサントラとしても有名か。
The Yardbyrdsがギターにジェフ・ベックジミー・ペイジの2人を擁していた
短い、奇跡的な時期を捉えている。
主人公はライブの場面に出会い、ジェフ・ベックがギターを壊す。
サントラは他にハービー・ハンコックの音も。


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Brian Eno『Music for Film』


大事な人のことを忘れていた。ブライアン・イーノ
ロック界随一の知性派イーノは1970年代後半から1980年代にかけて
環境音楽アンビエントへと到達する。
ロックから大事とされていた何かをざっくりと切り捨て、
そこに現代音楽の理論や神秘主義の感性を持ち込んだ。
(後者は”ニューエイジ”にパクられた)


環境、状況、情景に寄り添う音楽、音。
声高に主張しない。そこにメッセージはない。
記号の記号の記号…、を目指す。
つまり、反復し続けるうちに”意味”を失い、まっさらな純粋さだけが残された音。


この作品は特定の映像作品のために制作されたものではなく、
こういうのがつくれますけど使いませんか?
というプロモーションのためのものだった。
そんなスケッチが18個並ぶ。
(解説を読んでみたら、デレク・ジャーマンがその後使用したとのこと)


その後のイーノは自ら映像をつくる方向へと向かっていく。
その内容もまた、アンビエントだった。


イーノでサントラというと、U2のボノ・エッジと共演した
The Passengersも思い出す。


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□Carlos D'Alessio / Margueritte Duras『India Song』


マルグリット・デュラスインディア・ソング』のサントラ。
音楽はカルロス・ダレッシオ。
ミュージカル・ソーが印象的だった『デリカテッセン』なんかも彼。
1度聞いたら忘れられない、というかどこかで聞いたことありそうな、
物悲しい場末の酒場で途切れ途切れに聞こえてくるのがふさわしいテーマ曲。
元々は現代音楽の人で、ジョン・ケージの影響を受けているようだ。
これもまた、いいサントラです。
良質な、この映画にしかない「ムード」がある。


店頭で見かけてたまたま気になって買ってみてほっといたら
廃盤になっていつのまにかプレミアがついている。
今回取り上げたCDのいくつかはそういうのだけど、
逆にプレミアがついて高過ぎて入手しにくかったものもある。
これがその1つ。amazonで見ていたら時には1万超えてることもあって。
それがある日2,000円ちょいで売ってる中古があって、即買い。
そういうこともあるんですよね。相場と無関係にポンと出てくる。
こういうのを見つけて買うのが快感だから、やめられない。


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□Popol Vuh 「Best of Popol Vuh」


ドイツのプログレというと
CAN / Faust / Kraftwerk / Tangerine Dream / Amon Duul / Guru Guru
といった名前が挙がりますが。
忘れちゃいけないのが、この Popol Vuh ですね。
この名前はマヤの神話から取られたんだったか。
クラシカルな音楽と電子音楽との融合するバランス、
ギターとピアノの絡み合いの美しさはこの手の音楽では随一だと思う。
しかしその分、人によっては中庸に感じるかもしれない。
映画に向いてる音。
神秘的。内面に至る道がそのまま険しい外界に反映されているような。
南米の奥地のジャングルを僕は思い浮かべる。


中心人物フロリアン・フリッケはヴェルナー・ヘルツォーク監督と学生時代の友達
(同じサッカーチームだったというのをどこかで読んだ気がする)という縁で、
その代表作の音楽をいくつか手掛ける。
『アギーレ/神の怒り』『フィツカラルド』
ノスフェラトゥ』『コブラ・ヴェルデ』
このベストアルバムはこの4枚からのセレクションと
サントラ以外のアルバムからも何曲か収録されている。
1曲目からして『フィツカラルド』の壮大なコーラス。やられる。