「アーティスト・ファイル2011―現代の作家たち」

今日の昼、六本木の国立新美術館
「アーティスト・ファイル2011―現代の作家たち」を見に行ってきた。
今年で4回目。昨年は見れなかったけど、1回目と2回目は見に行っている。
国内外の注目すべきアーティストを8組取り上げるという趣旨は変わらず。
http://www3.nact.jp/af2011/artist
http://www.nact.jp/exhibition_special/2011/af2011/index.html


今回気になった3組について。


□鬼頭健吾
ベルリン在住。1977年生まれだというから僕よりも年下だ…
大きな部屋いっぱいに広がるカラフルなスカーフのパッチワーク。
エルメスっぽいのやアラビア風の、世界中から集めたのだろう。
それが送風機からの風を受けてモコモコと膨らんで揺れ動いている。
壁は四方を鈍い色の銀紙で覆われてぼんやりとした鏡のようになっていて
パッチワークの色彩や見ている僕が滲んで映し出される。
「こんなの初めて見た」そう思わせる作品だった。


□松江泰治
写真家。2002年に木村伊兵衛写真賞を受賞している。
経歴を見たら東大の地理学科卒とあって、なるほどなあと思う。
基本は風景写真なんだけど
理知的・幾何学的なエッジと感覚的・カオス的エッジとが
静かにせめぎ合っているようで。
世界各国の都市を上空から俯瞰する。なのに全体像は見えない。
無数の線と面と色彩。部分だけが増殖しているような。
背後に海や山といったものは入れ込まない。
ただ、建物の群れとその隙間の緑だけ。
それは地図とか風景とか空間というより、都市の地理というのが適している。
人物を映したのであっても、そう。
プールで泳いでいるとか芝生を歩いているといった何気ない瞬間なんだけど
その人の個性や歴史には何の興味もなく、
かといって単なる構成要素に過ぎないというのでもなく。
人間を捉えたミクロな地理学。
個々の写真のタイトルが「OSA 13829」や「27SVQ」というように
都市コードと数値の組み合わせってのもいい。
今回最大の発見。HASYMOのジャケットも手掛けたようだ。
この人の写真集を集めてみたくなった。


出口で売られてた『In-between』のシリーズ、
ヨーロッパの25の都市を13人の写真家が撮影するというもので
初めて知ったんだけど、松江泰治はイギリスとスロヴァキア。
たくさん売られていたのでそのうち買うかと思っていたら
その後訪れた青山ブックセンターにもなし、家帰ってamazonを見てもなし。しまった。
このシリーズ、EU・ジャパンフェストの一環として制作されたようで、
他にホンマタカシデンマークポーランドなど。
http://www.eu-japanfest.org/program/13/japan/et_link.html


□BIRDHEAD
上海の30歳ぐらいの若者2人組のユニット。
上海の今を切り取った写真がずらっと並んでいた。
なんというかその加速感と鮮度がすごい。
何十年経っても色褪せないような不思議な生命感が宿っている。
壁一面に広がってるのも壮観だけど、
どちらかというと写真集を家でじっくり眺めたいタイプ。
出口には中国版の分厚い写真集が売られてたんだけど、高くて買えず。
日本独自の写真集も出ているようだ。
http://www.amazon.ci.jp/dp/4434145169/
ちょっと探してみたらインタビューがあった。
http://www.shift.jp.org/guide/shanghai/insider/birdhead.html

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図録は相変わらずバラ売り不可で、
8人分セットになったのを松江泰治の写真のためだけに買う。
2,000円だから「ま、いいか」と思う。


国立新美術館は節電の影響で16時閉館となっている。