先日の日曜、恥ずかしながら、この年になって初めて選挙に行って投票をした。
20代の頃はただただいきがっていた。
僕なんかが投票したところで何がどうなるわけでもない。
何十万票のうちのたった一票なんてあろうがなかろうが大して差はない。
吹けば飛ぶようなそんな無力さを、わざわざ感じたくはない。
30代に入ってからは実は、怖かった。
いい年して投票所でどう振舞うべきなのかを知らない。
とんちんかんなことをしでかして、失態を演じてしまうのではないか…
こんなことなら一生選挙に行きませんでしたというのを全うしてもいいな、
とすら考えていた。
それがさすがに今回のことでそうも言ってられなくなって。
この人を当選させていいのだろうか?
実際のところ、この人に入れたいという候補者はいなかった。
(イロモノとして面白いという人はいても)
バツをつけるのならいいのにな、と思った。
午前8時。
封筒を握り締め、恐る恐るビクビクしながら近くの中学校へと向かう。
広い部屋に入ると、目の前に机が並んで2人ずつ座っている。
よく分からず真ん中の机に向かって進んでいくと
「まずは受付をしてください」と言われ、隣の机を示される。
ひー。心臓がバクバクする。
自分が社会不適応者のように思えてならない。
しかしそこから先はなんとかなった。
都知事選挙の用紙を受け取って候補者の名前を書いて箱に入れる。
都議会議員補欠選挙の用紙を受け取って候補者の名前を書いて箱に入れる。
あとは何食わぬ顔をして会場を去る。
簡単なことだった。
なぜこれまでできなかったのだろう? 避けていたのだろう?
なんというか、身軽になった気持ちがした。
翌日、結果を知る。予想通りの結果になった。うーむ…
自分が投票した候補者の得票数を見る。
ああ、この中の一票が僕のか。
そういうことか。
そういうことなのか。
何かが、分かったような。
なぜ、投票しなければいけないのか。
勝ち負けや0・1の問題ではなくて、支えるのだということ。
これまでの自分はとてももったいないことをしていたと思う。
僕は間違っていた。