岡村靖幸LIVE「エチケット」

昨晩は岡村靖幸の復活ライヴを見に行った。
場所は新木場にある Studio Coast というホール。


『家庭教師』が邦楽で生涯No.1の僕としては
岡村靖幸という人は神様のような存在であって。
過去にいろいろとあったのでもう2度と人前では歌わないのでは?
と思っていたので、今回チケットが取れて本当によかった。


ステージの前へ。最近の若い人は知らないかもなー
と思っていたらやはりそのようで40歳ぐらいの人がボリュームゾーンだった。


幕が開く。
神様がそこに立っていて、踊りながら歌い始める。
最初何の曲なのか分からないぐらいに長いイントロとともに
「どぉなっちゃってんだよ」いきなり大合唱となる。僕もそこに加わる。
続いて2曲目が「カルアミルク」ニクい。ニクすぎる。
(『家庭教師』の1曲目・2曲目と同じ、ということです)


しかし、この頃はまだなんだか硬くて。
声も出てないし、音程も合ってんだか合ってないんだか。
ムムム…? と正直思う。ブランクが長かったか。
パラパラとパントマイムが織り交ざったようなダンスも
長い手足を思いっきり伸ばせてないような。
90年代初めのライヴDVDと比較すると隔世の感あり。
いくら痩せたとはいえ、全体的に何もかもがもっさりしている。


3曲目以後はメドレーのように曲をつなげていって、
途中でアコースティック・ギターも持って。
最初掛けていた眼鏡も外して。
そして一息ついて「イケナイコトカイ」
これはとてもグッときた。途中でマイクを通さずに歌い、叫んで地団太を踏んだ。
それまではどことなく照れや気恥ずかしさがあったのが
ようやく生身の姿を表わしたというか。
この頃から歌も踊りも何が変わったわけでもないのに俄然輝きを増す。
楽しそうに笑い出すとこちらも嬉しくなって笑い出す。


休憩ってことなのか「総合司会」の方がMCを。
セルフ・リメイク作として先月2枚同時に発売された『エチケット』
このレコーディングの相方を務めていた方で、制作中のエピソードを語る。
合間合間に岡村靖幸は何をしていたのか? 
観客席からは(「カルアミルク」の歌詞にちなんで)「ファミコン」と声が上がるが、
実際はダンベルを持ち込んでの筋トレだった。
そしてラジオ番組に見立てて、リスナーからの手紙ってことで
「北区赤羽の家庭教師さん」から届いたメッセージを読む。
これがまあ本人からってことになっていて
「皆さんの前で歌いたい曲があります」と。
そして披露されたのが
「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」!!
アコースティック・ギターのあの瑞々しい旋律を自ら弾く。
この頃には僕はもう、完全に虜になっていた。
そして本編の締めくくりが「だいすき」!!
この流れもまた、にくい。


アンコールはゴリゴリ・バキバキの怒涛のファンクへ。
さらに2度目のアンコールはひとりキーボード弾き語り。
「東京ベイビー」って歌ってたんだけど、知らない曲。即興なのだろうか?
英詞の曲のカバーが挟まって、ユーミンの「卒業写真」そしてなんと「君が代
なんと大胆な…
しかし、この弾き語りに岡村靖幸というミュージシャンのなんたるかが
最も色濃く現れていたように思う。
皆が見たかったのは何よりもこの岡村靖幸だったのではないか。


そしてバンド演奏に戻って
隠れた名曲「どうかしてるよ」をしっとりと歌い上げて、
デビュー曲「Out of Blue」でクロージング。観客席に限りなく投げキッス。
もっと見たい、もっともっと見たいと思わせるうちに
あっという間に終わってしまった。
”これから”の余白や余韻を感じさせる。


この日は東京公演の2日目。
1日目のセットリストを見つけた。ほぼ同じかな?
http://www.setlist.mx/?p=10256
うーん、「家庭教師」はやらなかったんですよね。
あの寸劇(?)がどうなるのか興味津々だったのですが。
「ターザン ボーイ」「パラシュート★ガール」
「チャーム ポイント」「Peach X'mas」といった辺りもやらない。
『禁じられた生きがい』からは1曲もやってないことに気付く。
なぜかそこだけはさらりとかわして『Me-imi』の方へ。
他のアルバムからはバランスよく選ばれている。


誰もがそう思っただろうけど、また見たいなあ。
2日続けて見に来てるような人も多かった。
今度はブランクが開かず、新作が順調に出てほしい。
切に願う。