台風12号に引き続き、昨日は台風15号が日本列島を横断。
午前中紀伊半島に接近、そのまま東に進んで夕方、関東地方を上陸して直撃。
こんなとき、仕事している場合じゃなくて落ち着かない。
一日ずっとソワソワしてた。
早い部門では午後になってすぐ帰宅指示が出たのだとか。
窓の向こうはまるで津軽の吹雪のような横殴りの土砂降り。
どうして皆平然と仕事していられるのだろう?
天気予報のニュースをずっと立ち上げっぱなし。
うわー、もう浜松まで来てるのか。いてもたってもいられない。
京葉線が止まった、小田急線が止まった、あちこちでそんな声が上がる。
とりあえず向かいの歯医者に行って、18時からだった予約を取り消す。
打ち合わせが終わって、17時。
他の人たちはまだ仕事しているのに1時間早くオフィスを出る。
走って神保町の駅へ。新宿線はダイヤが乱れていたもののなんとか乗れた。
まずは第一の関門をクリア。しかし、身動きできないぐらいに混雑している。
我先に乗ったり下りたりする人がいたり、
下りようとした人の傘が他の人の鞄に引っ掛かったり。雰囲気が全然よくない。
新宿線は笹塚から先の京王線が全面停止。再開の見通し立たず。
僕は丸の内線が止まっていないか、そればかりが気になった。
新宿三丁目の駅の改札は人だかりができていて
慌てた乗客が駅員を捕まえて説明を求める。
どこかで声を荒げているのも聞こえた。
多くの人が携帯で話していた。「JRも私鉄も止まっている」「帰れない」
3.11以来の出来事が起きている。「帰宅難民」という言葉を思い出す。
丸の内線のホームに着くと、目の前に車両が止まっていた。
間に合わなかったか。駅に停車したまま待つことになるのか。
その瞬間、ドアが一瞬だけ開いてサッと人だかりの中を乗り込む。
何事もなく車両が走り出す。新宿駅へ。
たくさんの人たちが下りて、たくさんの人たちが乗ってくる。
ずぶ濡れになった人たちもいた。また走り出す。ようやくほっとする。
車内アナウンスの平然さからすると、どうもそのまま終点の荻窪まで行けるようだ。
「列車が遅れまして大変ご迷惑おかけします」
こんなときに動いているだけでも、かなりありがたい。
荻窪駅に着く。ホームに出て、丸の内線の荻窪駅では初めて見る混雑振りに遭遇する。
人波を塗ってなんとか階段まで来ても、そこから先が進まない。
逆にエスカレーターで下りて始発に乗って帰る人たちがいるのを不思議に思う。
彼らは平然と列をなして下りていく。
改札は振り替え乗車の切符ばかり。
外に出ても途方に暮れる人たちでごった返している。
JRは完全に停止。閑散とした改札の向こうに生ぬるい空気が流れていた。
地上に出ると暴風雨の中、バス停が長蛇の列。
「これってどこ往きですか?」「これってバス停ですか? タクシーはどこですか?」
傘を指そうとすると突風に煽られて壊れそうになる。
諦めて傘を指さず走っていく。風は強いが、雨はそれほどでもない。
通りは倒れた自転車や壊れた傘が散乱している。
コンビ二が普通に開いている。飲食店も普通に開いている。
コンビ二で普通にカット野菜と細切れの肉を買う。
頭上のテレビで台風の進路。18時の時点で、東京は通り過ぎたようだ。
帰って来て心の底から安心する。屋根の下、幸福な気持ちになる。
ずぶ濡れになったのを着替えて一息ついて、ご飯を炊いて肉野菜炒めを作って食べる。
そのうちに19時には風もおさまっていった。暴風域が通り過ぎていった。
僕は助かったけど、本当の大変さはこれから。いつ、再開するのか。乗れるのか。
中央線も山手線も都内のJRは皆止まったまま。私鉄も、地下鉄も。
僕が乗ったあと、新宿線も止まったようだ。間一髪だった。
丸の内線と銀座線が遅れているだけで、他は全滅。
(ほんと頑丈だ。遅れの理由が台風じゃなくて、混雑というのがすごい)
20時ぐらいから運転再開し始めて
22時には遅延しつつ、一部折り返しつつ、だいたいのところ動いていた。
その間足止め。動きだしたからすぐ誰もが乗れるってもんでもないし。
「東京駅では地べたに座り込んでいる」とかそういうツイートも見た。
「帰宅難民」ってほどじゃなかったけど、多くの人の帰宅が遅くなった。
一部の地域では停電もあったようだ。
東京駅や新宿駅は動くあての全くなかった3.11のとき以上に
この日の方が殺伐としていたんじゃないか、殺気立っていたんじゃないか。
そんなことを想像する。
そしてこの日、夜になって地震があった。