「Peter Broderick + Nils Frahm Japan Tour 2011」


先ほど、「Peter Broderick + Nils Frahm Japan Tour 2011」を見てきた。
http://www.cotelabo.com/peter_nilstour.html
2人ともジャンルとしては「ポストクラシカル」
これまた幅広そうな名前なんだけど、
ピアノやアコースティック・ギターと電子的な音響との融合といったところか。
Peter Broderick の名前をいつ、どこで知ったのか思い出せず。
「Music for FALLING FROM TREES」という演劇用の短いアルバムを
iPhoneに入れてよく聞いている。


会場は本郷三丁目にある「求道会館」という場所で、
名前からして「これはなんだ?」と思って調べてみる、
http://www.kyudo-kaikan.org/
かいつまむと、明治時代の浄土真宗大谷派の僧侶近角常観が
「若き日の欧州留学の体験をふまえ、青年学生と起居を共にして
自らの信仰体験を語り継ぐ場」として開いたとのこと。
ヨーロッパの教会堂建築と寺社建築の融合という
和洋折衷の建築様式にして、東京都の有形文化財に指定されている。
最近では結婚式場としても利用されるみたいなんだけど
今日のようにライブの会場にも。
10月の3連休には mama! milk の名前があった。


丸の内線で本郷三丁目の駅へ。
東大の脇を通る。これが赤門か。
周りの店は「赤門不動産」であるとか「赤門○○」ばかり。
それはいいとして、こだわりありそうな小さな出版社や古書店が多い。
僕の通ってた大学とはやはり風格が違う。
あと、新しそうなラーメン屋がやたら目に付いた。


求道会館の前へ。リハーサルが押していて、しばらく待たされる。
いつのまにか大勢になっている。
Nils Frahm の弾くピアノの音が聞こえる。
中に入る。教会のように椅子が並べられ、奥には説教壇と六角堂。
阿弥陀如来が本尊であるという。
その手前左側にグランドピアノ、右側に椅子とギターやマイクスタンド。
2階席もあった。


今回の来日ツアーは恐らく小さなライブハウスを回るんだろうけど、
大阪や2回目の東京では会場が教会となっていた。金沢では書店。
そういう雰囲気っていいよね。親密な音となりそう。
実際、この求道会館もなかなか音がよかったように思う。
凛として、まろやかな。


サポート・アクトは Takumi Uesaka という小柄で繊細そうな若者。
淡々とした美しいメロディで「愛」とか「水面」って唄う
歌詞のギター弾き語りなんだけど、
エフェクターのノイズをサンプリングしたものを
背景音としてループさせたり、音のセンスがなかなかいい。
ちょっと気になる存在。
Peter Broderick とスプリット・アルバムも出してるのね。


そして、Peter Broderick と Nils Frahm が登場。
Nils Frahm のソロ、共演、Peter Broderick のソロ、競演という構成。
まずは Nils Frahm のピアノソロ。思いがけなくこれがとてもよかった。
幻想的な音から始まって、最後には冷徹な感情の昂ぶった音を叩きつける。
モノトーンの中に淡い色彩の滲むような。
映像やストーリーを感じさせる音。


共演の1回目はエフェクターやラップトップを通したピアノと
Peter Broderick のヴァイオリン。これが美しい。
Peter Broderick は一人多重演奏(って言うのかな)で
どんどんループさせて音を重ねていく。
2曲目はマイクを直接叩いてパーカッション替わりに音を出して
即席のリズムボックスにする。
Nils Frahm はピアノの中を叩いて、弦を弾いていた。


休憩を挟んで Peter Broderick のソロはアカペラからピアノ弾き語りへ。
その後一人多重演奏によるギター弾き語り。ヴァイオリンも重ねたり。
共演も同様。そこに Nils Frahm が加わる。
後半は Peter Broderick の歌が中心。
Peter Broderick のアルバムが聞きやすいのはなぜかと思うに
歌心があるからなんだな、ということがわかった。
明快な美しいメロディーラインが上下する、という類ではない。
しかし、フォーク・ソング的に肌に馴染んで、すっと入り込む。
本編最後の曲は出だしの歌詞がどうしても思い出せず、何度もやり直す。
会場中が温かい笑いに包まれる。
そしてアンコールでもう1曲。


終わって、2人のユニット「oliveray」のCDを会場で買う。
帰って来てからすぐ聞いてみる。いいね。
ピアノとヴァイオリンだけのミニマルな曲やそこに歌の加わった曲。
これはしばらく聞くことになりそう。