カナリヤ

うたをうたう生活を続けている。
わたしなりに。
昼間の仕事があって、夜とか、日曜とか。
トモダチが演奏してくれる。わたしはそこに立つ。
歌っているときはタノシイ。いろんなことを忘れていられる。
わたしの声が宙に消える。


最近、なんのことをうたっているのかわからなくなることがある。
ジブンが書いた詩も。だれかが書いてくれた詩も。
日本語なのに。
紙の上のを読むことはできるのに、歌っているとわからない。
ことばがカタカナになってからまりあって、頭の中でグルグルと回っている。
くるしくなって歌えなくなる。
ステージにポツンと1人残されて、みんながわたしのことを見ている。


「うたをわすれたカナリヤは」って昔テレビでだれかがうたってた。
こどものうた。続きは忘れたけど、ザンコクなお話だったと思う。
そう、わたしはカナリヤ。
オリのなか。


うたのなかでは、月夜の海に浮かぶと思い出せるんだったか。
だからわたしは夜になると海辺まで出かけて
砂浜にすわって、海を見つめている。
どうしたら浮かぶのだろう。
舟にのらないといけないのかな。
月夜のなかをひとりでこいでいくわたしをわたしは思い浮かべる。
月夜の光にてらされて、わたしの声はうたになる。
うたになってきえていく。