昨晩、ニュースサイトの天気予報を見ると東京は雪となっていた。
夜遅く日付の変わる頃、気がつくと雨音が聞こえてきた。
眠りながらそういえば雨は久しぶりだな、と思う。
朝起きて着替えて外に出ると、雪。大粒の白い雪が音もなく降っている。
低くなった空は重たい灰色。青森の冬を思い出す。
明けきらないどこか薄暗い空の下、傘も差さず雪の降っている中を歩く。
表情はなく言葉もなく、しかし、永遠に癒えることのない
凍てついた心を抱えたかのような、雪。
都心では初雪なのだという。先月9日の朝に降ったように思ったのは違ったのか。
あの日は休みを取ったので覚えている。みぞれだったのか。
東京駅に着く頃には雪ではなく雨になっている。
InterFM でピーター・バラカンの番組を聴きながら歩いていたら
ヴィム・ヴェンダース「パリ・テキサス」の曲をというリクエストがあって
「Dark Was the Night」がかかった。
ああ、それ分かる。
真冬の朝、雪の降りしきる中を
ひとりきりでトボトボと歩く自分を後から振り返って思い描くとき、
そこに流れる音楽はライ・クーダーがソロで弾く、沈み込むようなギターだろう。
明確なリズムもメロディもなく
ただただ押し殺した感情の塊のような音だけが鳴っている。
皇居のお堀端の森が黒々と広がっている。
堀のこちら側、葉を落とした木々がこんな日にはやけにくっきりと見える。
絡み合った細かな枝が諦めきった、ささくれ立った神経のような。
-
- -
そして今、昼休み。
大粒のボタン雪が依然として降り続けている。
しかし今日は積もらないようだ。