「Sonic Youth : Sensational Fix」


Sonic Youth: Sensational Fix

Sonic Youth: Sensational Fix


一昨日の2月2日、
「ソウル・トレイン」の司会者ドン・コーネリアスの自殺のニュースと並んで
アメリカを代表するアーティスト」マイク・ケリー自殺のニュースがあった。
Sonic Youth 「Dirty」のジャケットを手掛けていたことを思い出す。
http://www.amazon.co.jp/Dirty-Sonic-Youth/dp/B000003TA9/


ぬいぐるみを使ったどこかグロテスク、どこかキャッチーな作品が有名。
「Dirty」のジャケットがそうだった。
元々この人はデトロイトでガレージ・ブルースを演奏していた
Destroy All Monsters のメンバーだったんですね。
The Stooges のロン・アシュレイがギターを弾いていた。
この記事がいいかな。日本でも「マイク・ケリー展」があったんですね。
http://www.shift.jp.org/ja/archives/2004/09/mike_kelley_the_uncanny.html


あれこれ調べていたら、「Sonic Youth : Sensational Fix」という本に出会う。
http://www.amazon.co.jp/Sonic-Youth-Sensational-Fix/dp/3865605397/
ピンと来て即買い。2008年までのグループの道のりを事細かに追った
700ページを超えるスクラップブック。元は懐古展のカタログらしい。
その大半はインタビューであったりメンバー4人による文章なんだけど、
写真やライブのフライヤーなど貴重なヴィジュアル資料が満載で
その情報量だけでももの凄いことになっている。ファン必携。
パティ・スミスやマイク・ケリーとの対談もあり。
マイク・ワットやリチャード・ヘルも思い出を綴っている。
サーストン・ムーアが Nirvana について語り、
リー・ラナルドがカート・コバーンへの追悼文を寄せていた。


後半は詳細なディスコグラフィーに続いて、
そのジャケットや手書きの歌詞など。もちろんオールカラーで。
ファミリー・ツリーまであった。最初のうちこそ変遷を辿るものの、
サーストン・ムーア、キム・ゴードン、リー・ラナルド、スティーヴ・シェリー、
4人の名前の上に「Sonic Youth #7 1985」とあって
その次がジム・オルークの加わった2000年だったところにグッと来た。泣ける。
そしてバンド自身による全アルバムのセルフ・ライナーノーツ、
最新(2008年)の4人それぞれに行なったインタビュー、
「8-Eyed Spy」に始まる関係するバンド・ミュージシャンの解説。
至れり尽くせり。


最後1/3が「Selected Works」と題して、
メンバーたちが選んだ現代アート作品の数々。
シンディ・シャーマンやリタ・アッカーマン、ロドニー・グラハムの名前があった。
『Goo』のジャケットを手掛けたレイモンド・ペティボーンの諸作、
そして権利関係で大々的にフィーチャーできなかったんだろうけど
『Daydream Nation』のゲルハルト・リヒターもこっそり紛れ込んでいる。
今や幻のトッド・ヘインズ「Superstar」の断片も。
アレン・ギンズバーグウィリアム・バロウズ
ジャック・ケルアックポール・ボウルズポートレート
ミュージシャンの名前としてはジョン・ケージ、クリスチャン・マークレイ、
トニー・コンラッド、グレン・ブランカ、ジョン・ファーヘイなど。
何よりもこのセクションがこの本の価値を高めている。
Sonic Youth をフィルターとして切り取った
現代アートオルタナティブな音楽シーンの歴史。


そして左右の表紙裏に 7'レコード。
Lee Ranaldo「Rats(Demo)」と Thurston Moore「Aerosol」
これが何よりもニクイ。


どこを切り取っても素晴らしい。
カタログという性質上、もしかしたら現在出回ってる在庫のみかも。
興味のある人は早めに入手したほうがいいです。
展覧会自体は2008年、僕が見つけたのは2010年の2版です。