熊野古道を歩く その8(2/18:紀伊勝浦)


17時半。駅を出て歩く。
紀伊勝浦って僕も知ってるぐらいの漁港の町、温泉のある観光の町なんだけど、
それでも新宮とどっこいどっこいなぐらいに寂れた町だった。
新宮の方がまだ都会かもしれない。
わずかばかりの商店街を歩く。あちこちでマグロマグロと。


港に出る。宿は「万清楼」
http://www.urashimachain.co.jp/manseiro/index.html
チェックイン後、荷物を置いて同じ系列の「ホテル浦島」の温泉に入りにいく。
http://www.hotelurashima.co.jp/
半島になっていて、フェリーで渡る。20分おきに1本ぐらいで出ていて無料。
「万清楼」の宿泊客ならば温泉の利用も無料。


紀伊勝浦はこの「ホテル浦島」と「ホテル中の島」が勢力を二分するようだ。
この二つがそれぞれ母体となる観光案内所を商店街や港のあちこちでみかけた。
ホテル中の島」もまたフェリーで向かう。こちらは島そのものがホテル。


5分ほどで「ホテル浦島」に到着する。
でかい。とにかくでかい。マンモスという形容が思い浮かぶ。
ある意味今回の旅行で最もカルチャーショックを受けた。
本館、なぎさ館、日昇館、山上館と4つに分かれ、それぞれにフロントがある。
露天風呂の忘帰洞と玄武洞、内湯の磯の湯と滝の湯、
32階から太平洋を臨む天海の湯、同じく33階から勝浦湾を臨む遥峰の湯の6つ。
これが本館フロント前から各温泉へと道案内の矢印がそれぞれ床に伸びている!
どれだけ広いんだか。


まずは名物の忘帰洞に入る。洞窟をそのまま温泉にして海辺に面している。
この名前でホテルオリジナルのお菓子を土産物にしているほど。
入ってみる。いくつか浴槽が分かれていて、海辺に面している方がなぜかぬるい。
これは玄武洞もそうだった。
貧乏性で全部入っておきたいという気持ちがあって、あまりゆっくりせず次へ。
たくさん人がいて落ち着かないというのもあり。
ざっと着替えてダウンジャケットとセーターは脇に抱えてTシャツ姿で館内を急ぐ。
ブーツも紐を結ばない。
(有料でいいから浴衣の貸し出しと脱衣所とコインロッカーがあるとよかった)


磯の湯は小さくて、どこかの会社の団体がほぼ占有。こちらもすぐ出てくる。
次は玄武洞。これはよかった。こちらも洞窟で、忘帰洞をこじんまりとさせたような。
ほとんど人がいなかった。海辺に面した浴槽が誰もいなかったから
じっくり腰を落ち着けて海を眺めた。外は完全に夜。
このエリアはホテルの明かりもそれほど差さないようになっていて真っ暗。
寄せては返す波の音。白いしぶきが浜に打ち寄せる。


最後に天海の湯。遥峰の湯は19時までで間に合わなかった。
何が驚くかって山上館ってところにあって32階の高さ。
そこまではエレベーターだけではなくエスカレーターがある!
10階分ずつ区切って上っていく。
乗ってみる。見上げるとどこまで続いているのか分からないぐらい。くらくらする。
天国に向かうときって、こんな感じなのかもしれないとふと思った。
温泉そのものはビジネスホテルの最上階の大浴場って感じでたいしたことなし。
景色はいいんだろうけど湯気で曇っていて何も見えない。


本館のフロントに戻ってきて、那智大社でも見かけた黒飴ソフトクリームを食べてみる。
漫画喫茶的な店が「COM」や「ガロ」の珍しいのが揃っていた。
館内には和歌山ラーメンを出すたこ焼き屋や居酒屋、土産物のショッピングモールまであった。
至れり尽くせり。コンビ二風の売店もあった。
しかし、えてしてこういうのって温泉もそれ以外も大味なんですよね。
それもまたよしと捉えるかどうか。団体ばかりで賑やかだし。
僕だったら宿泊と食事は「万清楼」にして、「ホテル浦島」の温泉に入ると使い分ける。
土産物屋ではマグロを煮たものがうまそうだったので青森へのお土産に2つ買って送った。


フェリーに乗って港に戻る。チェックインのときに「万清楼」のフロントでうまい店を聞いたら
「桂城」「おがわ」「まぐろ三昧 那智」が人気とのことだったのでまずは3つの店の前まで。
「おがわ」はどちらかというとマグロよりもクジラの店か。
「まぐろ三昧 那智」にする。店員は地元の若者がバイトか。
マグロの唐揚、ユーリンチュー、ユッケ、マグロの胃袋のトマト煮などを食べる。


閉店までいて、「万清楼」に戻ってきて昨晩僕が飲まなかったビールを
Fさんと部屋でずっと飲んでいる。気がついたら午前1時半。
明日は熊野古道を本格的に歩く日ということで慌てて眠る。