熊野古道を歩く その12(2/20:請川〜川湯温泉)


請川の町を歩く。田舎だけど多少開けている。
しかしここも本宮大社と温泉街のあいだってことで成り立っている町か。
いくつか店があって、というだけ。取り立てて見るべきものはない。
「請川のお滝さん」というのが本宮町名勝八景のひとつとのことだったが、
僕は川湯温泉までの道のりをそのまま行くことにした。


川べりに出る。温泉が近づいて水の色が本当に水色。
鉄橋を渡り、さらに歩く。10分ほど進むと川沿いの温泉郷へ。
まずはキャンプ場があった。その先に今回2泊する「冨士屋」が見えた。
一番端、手前にあって確かに目の前に川を堰き止めて作る「仙人風呂」があった。
さっそく見に行くと石を組んで長方形の形にした広い風呂の中に男性が何人か入っていた。
その周りは工事中。台風の影響によるものなのか。
トラックが待機して、ショベルカーが何台も動いている。
(これが泊まっていた3日間、朝から晩まで続いた)


この時点で13時半。チェックインまでまだ時間があると
川の上流のほうに公園を見つけるとそちらでしばらく過ごすことにした。
古びた鉄橋には手作りの紙製の人形のようなものが吊り下げられていて、
そのうちのひとつは「ONE PIECE」のルフィだった。子供たちが作るのか。
後に聞いた話では春には鯉のぼりになるという。


「冨士屋」に入る。今回の旅行ではここだけ飛びぬけて高い宿になる。
http://www.fuziya.co.jp/
黒を基調にした内装。フロントの反対側に豪華な雛壇が飾られていた。
2階の和室へ。お茶を運んできてくれたおばちゃんに
明日の9時の発心門王子への送迎バスの予約をお願いする。
せっかくだから貸切露天風呂ってやつを利用してみようかと尋ねてみたら、
今日は宿泊客が少ないからいつ入っても貸切のようなもの、とのことだった。
ついでにどこかで現金が下ろせるかというのも聞いてみる。
本宮に行けば紀陽銀行があると分かる。
最後に、荷物を送りたいと段ボール箱とガムテープ、伝票を持ってきてもらう。


さっそく館内の露天風呂に入ってみる。確かに貸切。
今日も5時間しっかり歩いた後なので温泉が心地よい。
お湯はしっとりさらさらな透明系。
これで工事がなく、静かならば言うことないのだが…


次に仙人風呂へ。本当は水着を借りて入ればいいんだろうけど
他にあまり人がいなかったのでこっそり素っ裸で出入り時にタオルで覆って。
お湯はぬるめ。目の前に森、背後に立ち並ぶ宿。
開けっぴろげな露天風呂という感じでそれほど面白いものでもない。
落ち着かなくてすぐにも出てきた。ま、話のタネにという程度か。
夏は河原の砂利をスコップで掘ればお湯が沸くということで、そっちの方が楽しいと思う。


館内の自販機で缶ビールを買う。500mlのロングが500円。やはり高い。
熊野古道」という地ビールが350mlのが3本入りで1,200円。こちらも買ってみる。


部屋に戻ったらまさかのiPhone圏外。
メールを送りたく、つながるところを求めて、宿を出て、キャンプ場のほうまで。
浴衣の上にどてらという格好で。
最初のうちは湯上りで暑いぐらいだったが徐々に体が冷えてくる。
再度また温泉に入りに行く。


体が温まったところでお湯に浸したタオルでヒゲを柔らかくして、T字カミソリだけで剃る。
だいぶ柔らかくなったもののそれでもカミソリ負けして何箇所か血が出た。
旅行用の小さいのを買って持って来ればよかった。


この後ずっとビール飲みながら、iPhoneで音楽を聞きつつ
電気グルーヴの『メロン牧場 花嫁は死神』を読んで
夕方から夜までを過ごした。時々温泉に入りに行く。とことんゆるんだ。
ネットに繋がらないというのが良かったのか。


夕食は部屋で。
前酒、なまこ酢、わけぎ貝柱、焼目かますの小柚寿司、
シメジ・アサリのお吸い物、造り(マグロ、アワビ、鯛)、
鯛と鰻のかぶら蒸しのカニあんかけ、岩清水豚バラとエリンギのかさね焼き、
太刀魚・椎茸・獅子唐の天ぷら、岩清水豚ロース(椎茸、豆腐、水菜)の豆乳しゃぶしゃぶ、
ご飯は釜で炊いて炭が入っている、
フルーツ盛り合わせ(オレンジ、キウイ、イチゴ)、フルーツケーキ。
瓶ビールを2本。氷水でいっぱいにした桶に入って出てくるのが嬉しい。


食べ終えて「熊野古道」を飲んでみる。古代米と黒米を使っているとのこと。
そこはかとなく土の苦味があってフルーティー
ひと風呂浴びた後で「熊野川」という地酒も頼んで飲んでみた。
こちらもまた氷で冷やして出てくる。キリッと飲みやすい。


先日買った「ほたて紀州煮」もおいしかった。
飲み続けて、午前0時過ぎに眠る。