強風世界

西日本から北日本にかけて暴風雨。超大型の台風に匹敵するという。
早めに帰って来て、今、家の中で一息ついている。
外からはものすごい音がする。断続的に横殴りの雨。
こんなときに風雨をしのげる自分一人の部屋を持っているのだから
僕は幸福なのだと思う。


15時に神保町の常駐先を出て、どうしようかと一瞬迷う。
新宿線に乗って新宿三丁目で丸の内線に乗るのが
駅も近いし乗ってる時間も短い。
しかし、傘を片手に立錐の余地もない車内の中で立ちっぱなしはきつい。
去年の台風で懲りた。
かといって東京駅まで歩いていくのも現実的ではない。
目の前を歩く人の傘が折れ曲がっている。
淡路町まで歩くことにした。傘が吹き飛ばされないように注意しながら。
駅に着く。続々と会社員たちが地下に吸い込まれていく。
丸の内線のホームへ。池袋行きが無茶苦茶込んでいる。もう?
反対側荻窪行きはまだそうでもなかった。ギリギリ座れた。
そこから先は読書の時間に当てる。
東京駅で割と減って、赤坂見附にてギュウギュウ詰め。
押し込めるだけ押し込んで目の前に立ってる人たちは身動きできなくなる。
座れてよかった…


この季節に台風ではない、異常に発達した低気圧というのが怖い。
いつもより寒い、いつもより暑い日が続くというと
「異常気象」の一言で片付けることもできる。
居座っているといつのまにか慣れていく。今年はそういうもんかと受け入れる。
強風というものは得たいが知れない。いつのまにか現れて、いつのまにか消えていく。
何事もなかったかのように、次の日がそれまでの世界に戻っていく。
しかし、その瞬間は世界の終わりを思う。
J・G・バラードの作品でも
『結晶世界』や『沈んだ世界』よりも『強風世界』の方がリアルに怖い。
イマジネーションの働く余地がない。


今日は帰宅難民も現れるのか。
東京都は一斉帰宅の抑制を要請したという。