『変身物語』『ラウィーニア』『復活の日』

昨日の夜から雨。今日も一日降り続けている。
午前中は布団の中でアーシュラ・K・ル=グィン『ラウィーニア』を読み終える。


先週までオウィディウスによるギリシャローマ神話集『変身物語』を読んでいた。
たまたま人に勧められて『ラウィーニア』を読み始めたんだけど、
これはウェルギリウス叙事詩アエネーイス」の”翻案”となっている。
(紀元前1世紀の終わり頃に書かれた作品が21世紀に生まれ変わる)


オウィディウスは同時代のウェルギリウスをライバル視していて、
同じテーマで書いた長編詩が『変身物語』となる。そういうつながり。
その終わりのほう、トロイア戦争を終えたアイネイアス
トロイアから海を渡り、古代ローマのラティニアにたどり着いた場面では
確かにラウィーニアがたった一言触れられていた。
父王ラティヌスも求婚者トゥルヌスも登場した。


ギリシァ・ローマ神話という長大な物語と、そのほんの一部分のクローズアップ。
同じ流れにあっても、視点ひとつでここまで変わるものなのか。
つながりが感じられたとき、本を読むという行為はとても面白くなる。


(ちなみに、ウェルギリウスはダンテ『神曲』に導き手として登場しますね)


今日はその後、昼に『復活の日』を観ていた。1980年の作品。
未知のウィルスで人類は死滅、かろうじて各国の南極越冬隊員が生き残るという。
小松左京原作、なんと深作欣二が監督だった。
ジャニス・イアンが主題歌を歌って、
マイルス・デイヴィスのプロデューサーだったテオ・マセロが作曲。
出て来る俳優の半分以上が外国人(アメリカ人?)
主人公:草刈正雄が日本に残してきた恋人が最初の30分ぐらいで亡くなって、
以後日本人女優の登場無し。主人公とのロマンスは外国人女性と。
いいのか、日本映画?
南極やマチュピチュでも撮影して、ムダに豪華。
迷ったら豪華な方にしておけ、とでもいうような。
ヒットしても制作費が追いつかなかったのだとか。
以後、角川映画が大作路線をやめてアイドル路線に向かう転換期となった。


ローマ帝国建国の礎というひとつの歴史の始まりから、
2000年後、暴走するバイオテクノロジーによる世界の終わりへとつながっていく。
ここに一本見えてくる西欧文明の流れが感慨深い。
だから本を読むことも映画を見ることも止められない。


そういえば『復活の日』は原作も読んだことあるけど、
後半の出来事の扱いが全然違ったような印象がある。
映画はその辺り、大味ですね。