逗子へ(後編)


逗子市街へ戻る。本日のメインイベント。
教え子の中に建築家の方がいて、
自ら設計した建てたばかりの家に引っ越してくるまでの数日、
つきあいのある設計事務所の若手たちが手掛けた住宅の模型を集めて展示するという。
家具が搬入されず、ベッドだけが置かれた部屋のそれぞれに
様々に趣向を凝らした模型が。キッチンやバスルームにも。
とてもユニークで贅沢な試み。
こういうのって一生に一度、限られた人しか実現できない。
他に、招待作家としてある有名な若手のガラス工芸の方の作品であるとか。
鉄器や木工の分野でも。実際に家で用いるドアノブの見本、数パターンなど。
家そのものも天窓から2階へと日光を取り入れたり、
螺旋のように広がる階段が中庭を意識した集合空間として位置づけられていたり。
家族が引っ越してきて、果たしてどんな「家」となるか。


家を出てまた車に乗る。午後まだ14時ぐらい。
「葉山芸術祭」のパンフレットをめくって、気になったところを
あちこちを見てみようということになる。
まずは「AKIYA YOGA HOUSE」へ。
パンフレットの写真を見ると森の中に一軒家。
広い部屋に仕切りはなく、ベランダのように軒先が張り出している。
葉山マリーナを過ぎて、御用邸を過ぎて、さらに南へ。
道に迷っている間に「湘南国際村センター」に入り込む。
不思議な空間。丘陵地に名だたる企業の研修センターやセミナーハウスの
豪華な建物が立っているのに人の気配、利用されている雰囲気がない。
機能不全を起こしているような…


引き返し、民家の連なる細い道を入っていって、
山の入り口に「AKIYA YOGA HOUSE」を見つける。
ここはその名の通り普段、ヨガのレッスンが行なわれているようだ。
フロ、トイレ、キッチンとあとは広い部屋がひとつあるきり。
ここに座布団や低いテーブル代わりの台が並んでいる。
天井からはひょうたんをモチーフにした照明がぶら下がっている。
外に張り出した部分にはハンモック。藍染の民芸品など。メキシコ製らしい。
ヒーリング系の音楽が流れ、マットも敷かれている。
ヨガを教えているのは外国から来た女性たちのようだ。
皆でチャイを飲んで過ごす。


車に戻って、逗子方面に戻る。
海辺を歩こうということで「葉山しおさい公園」へ。
隣の神奈川県立近代美術館葉山館の駐車場に停める。
(それにしても、電車もなく道路も混雑するようなところに
 美術館があっていいのだろうか?
 …それでいったら青森県立美術館も一緒か)


砂浜へと下りていく。
サーフィンに興じる若者たち。流木を探す。
波打ち際を歩く。夏は海水浴場になるのか。
マットを敷いて寝転んで過ごしている人たちもいる。
南にある長者ヶ崎を目指して30分か40分ぐらいテクテクと歩く。
堤防にひじきが干されている。小舟が浮かんでいる。
部活帰りの中学生たちが集まって海辺に遊ぶ。
長者ヶ崎に到着するが、砂浜には柵が設けられ
危険ということでそこから先には進めず。
崖の下は荒々しい岩の残る磯となる。
ここで引き返すか、と向こうに突き出した島を眺めていると
その磯を近くに住んでるおっちゃんなのか
一人とぼとぼと歩いてこちらに向かってきた。
遠くに江ノ島が見えた。天気がよければ富士山も見えるという。


女の子たちが歩きにくそうにしていたので、帰りは主に道路を歩いていく。
葉山芸術祭に参加していた小さな画廊での写真展を見る。
東京をテーマにしている。被写体も構図もいいが、グッと迫るものがない。
近くのアマチュア・カメラマンなんだろうな。
葉山芸術祭は良くも悪くも普通の人、素人の作品を集めた手作りの祭りだ。


逗子に戻ってきてレンタカーを返し、「ENISHI」へ。
田酒があったので何杯も飲んだ。
鹿肉など、ここは食べものもおいしくて18時に店に入って22時半まで!
終電ギリギリまでここで過ごした。
楽しい一日でした。