この時期になると思い出す

今年はあちこちで花火大会が開催されると聞いた。いいことだ。
「この空の花」を観て以来、
花火には花火の美しい役割があるのだなと思う。


(記憶違いかもしれないが)
ねぶた祭りの最終日には昼、
海上にねぶたを流して花火を打ち上げる。
花火は夜だったか。
なぜかこれまで一度も観たことがない。居合わせたことがない。
その後ねぶたはどうなるのか。火をつけてから海に送るのか。
そのまま漂流しているとは思えない。
雨に溶けて。ボロボロになって。
そんなわけはない。パッと燃え尽きるのだ。


職人たちは、絵師たちは、
ねぶた祭りの一週間のために一年かけて作る。
保存されるのは一握りということになる。


花火は遠くから観たことがある。
あれは学生時代のいつだっただろう。
夜行で東京に戻るためにバスに乗って青森駅の近くで下りた。
そんな記憶があったように思う。
赤に黄色、ごく普通の慎ましい打ち上げ花火。
ナイアガラは津軽には似合わない。


もう何年もねぶたの時期に帰っていない。
最後に観たのはいつだったか。
いつもこの時期になると、そんなことを考える。
今年もまた、帰ることはない。


どこかを通りがかって遠くに花火を見かけたとき、
僕は青森のことを思い出すだろう。