メモ(輪廻系英雄伝説テーマ1)

なぜそれはそこにあるのだろうと思う。
ずっとそれはそこにあったのだし、
ずっとそれを探し続けてる自分もいた。
私、というよりも他の誰かが、
私の前の誰かが、私の後の誰かが
時を越えて探し続けているというか。


そのつながりは、
子供のときの方が気付いていたのかもしれない。
そこに感じていたかもしれない。
それがそこにあるということも知っていた。


この世界がバラバラになっていくのをつなぎとめる。
そのための知や言葉というもの。
たくさんの…、それが今、あちこちに散らばっている。
それを私たちは拾い集めようとする。
しかし手のひらの上で少し形になったその瞬間から
サラサラと砂のように零れていく。
私の周りの人たちも皆、途方に暮れている。
でも、やるしかないのだ、続けるしかないのだ。


そんな私は誰なのだろう、と思う。
そこにいない他の誰か、
つながりのない誰かとはどう違うのだろうと思う。
今はいつなのか。ここはどこなのか。


他の人たちはどうして知らずにいるのだろう。
知らないままでいられるのだろう。
本当は私もそうありたかった。
背負うものが少なくて済んだ。


仲間を探し、敵対するものと向かい合い、
私を導くもの、この世界を動かすもの、
それが何なのかを追い求める。
ひとつの小さな知がより大きな知へと結びついていく。
ささやかな言葉がより大きな言葉の群れに入っていく。
その川の流れの中に私も加わる。
私が見つけたものを次の誰かに伝える。


この世界における私という存在はちっぽけで
ふとした弾みに消えうせてしまう。
そのときには次の誰かが続いているだろう。
その空間に明かりを灯し、私はそこを歩いていく。