悪夢

見た夢の話をしてもしょうがないんだけど。
月曜の夜から火曜の朝にかけてみた夢が
余りにも鮮明すぎてぞっとしたのでちょっと書いておく。


僕はなんらかの木造の屋敷の中に住んでいた。
一階ずつ、一部屋。二十畳か三十畳か。柱と畳と窓があるだけ。
その一辺に襖を隔てて廊下がくっついている。その先は外に出た階段。
高台にあって、分厚い灰色の雲に覆われた、東京が見下ろせる。


その東京に巨大な爆弾が埋まっていた。
窓の向こう。真っ黒な魚雷。東京ドームよりも大きい。
闇のような球体にスクリューが突き出ている。
空から墜落してきた以外にありえない。
爆発する、と思って僕は慌てて駆け出す。階段を下りていく。
地面に降り立つとそのまま坂を下っていく。


今、この瞬間にもそれは爆発するはずだ。そうなっておかしくない。
僕は、東京は、全て吹き飛ばされる。
それはどの瞬間に訪れるのか。一秒前は助かった。次の一秒は?
引き伸ばされて、宙吊りにされて。時間の進み方がおかしくなっていく。
ああ、そいつは今どうなっているのか。しかし、振り返る時間も惜しい。
そこで目が覚めた。
火曜は一日、この巨大な魚雷を抱えた東京の光景が頭の中から離れなかった。


なぜ爆発しなかったのだろう?
僕がそれを望んでいなかったのかもしれない。
この状況そのものが何かのメッセージとなっているのかもしれない。
いや、違う。こんなことを思った。
僕の想像力が、その処理能力がそこに追いついていないのだ。
爆風の後に広がる地獄絵図を、五感もシミュレートできないのだ。


…それで、いいのだろう。
それが可能になったら、僕は夢の世界から逃れられなくなる。
相対的に現実の方が無感覚になっていく。
夢に、取って喰われる。