富山旅行その5(9/22)


いざ、出発。トロッコだけあってゆっくりゆっくり上っていく。
元々は川上での発電所の建設に当たって、資材や作業員を運んだんですね。
観光用じゃなくて本物のトロッコ
(なのでこの鉄道会社の親会社は関西電力だったりする)
何度かすれ違ったうちのひとつは実際に作業員が乗っていた。
道中は川を遡り、ダムや発電施設、作業用の橋がいくつも通り過ぎていく。
それらを「出六峰」「ねずみ返しの岩壁」など自然の景観が包み込む。
断崖絶壁を縫うように進んでいく。「猿専用の吊り橋」なんてのもあったなー。
これは初夏の頃や紅葉の頃はとても素晴らしい景観になるんでしょうね。


アナウンスの担当は富山出身ということで室井滋
要所要所で見所を解説し、富山弁のレクチャーも合間に挟まる。


吹き抜ける風が心地よく、適度な揺れが続く。
トンネルに差し掛かるとウトウトしだす。
映画館でつい眠ってしまうのと同じような感じ。
トンネルはやっぱ多いですね。特に後半。
片側の壁と屋根だけ、反対側が開けているという
半トンネル(?)の箇所がいくつかあった。
ロッコならでは?


全長20kmを90分かけて上っていく。
途中の駅「黒薙」で下りる個人客や「鐘釣」で下りる団体客。
僕らは終点の「欅平」まで乗っていく。標高約600mの山の中。
整備のためのものなのか、それとも発電施設か。あちこちで工事中だった。
さっそく崖を下りていって河原の足湯へ、
それがいっぱいで入れなかったのでそのまま「猿飛峡」の展望台へ。
片道20分の細い道を川に沿ってテクテクと歩いて行く。
舗装されて歩きやすい道ではあったけどアップダウンが多かった。
ところどころ歩行者用の狭いトンネルがあって、中をくぐる。
コンクリートの通路。秘密の抜け穴のよう。
小さな明かり取りの窓が等間隔で開けられているだけで、中はとても暗い。
トンネルによってはセンサーか何かで自動的に乏しい電気がつくようになっている。


猿飛峡に到着する。渓谷の底。巨岩と清流。
水墨画をカラーにしたかのようだった。
せせらぎの音。風が冷たくて気持ちいい。
いつまでもここにいたいと思わせた。


引き返し、もう一度河原の足湯へ。
15時で足湯の営業は終了ですと掲示があって、ロープでも巻くのかと思いきや
栓が抜かれて足湯の浴槽が空になっていた。
河原まで歩いていく。川に手を浸す。
冷たい、というほどでもないけどひんやりとしていた。


駅に戻る。20分ほど空いて、清酒「銀盤」を買って駅展望台のベンチに座る。
小さい缶で350円。飲みやすかったですね。水の味がするというか。黒部の清流。


帰りは大人も子どもも半分ぐらい眠ってて。
僕は行きでウトウトしていたから眠くはならず。
下り坂なので所要時間が少し短くなる。
というか逆にずっとブレーキをかけまくりなのか。
宇奈月の近くまで戻ってきた頃かな。線路脇の一角に猿が寝そべっていた。


戻ってきて17時半。
宿に到着する頃、もうひとりの同期と、別行動だった先輩家族も合流。
露天風呂に入って浴衣に着替えて、個室の広間で宴会へ。
僕が予約したので「岡村様ご一行」とあった。
家族ごとにお膳が並んでいたのを男たち6人が固まるようにして、
真ん中に子どもたち、反対端に先輩たちの奥さんふたり。
ズワイガニ、牡丹海老の刺身や銀鱈の焼き物など。
鴨のつみれ汁や白身魚の揚げ物もうまかった。
白海老はなかったものの、富山の海の幸を堪能。
先輩たちも喜んでくれた。よかった。
生ビールで乾杯して、富山の地酒「立山」へ。
子どもたちは座敷を走り回ったり、変身ごっこだったり、
箸袋にお手紙を書いて渡したり、女の子たちは衝立の陰でヒソヒソしたり。
僕らもまた昔のエピソードを思い出したり、互いに「変わらんなあ」と言い合ったり。
賑やかなひと時を過ごした。


それでも終わって、21時過ぎ。まだまだ時間があるねと卓球を。
上の階にはカラオケバーがあるようで酔っ払った歌声が聞こえてくる。
温泉卓球ならば腕に覚えあり。僕は三人を相手にして次々に勝つ。
それはそれでつまらんということで早々にお開き。
麻雀をやるという話も出たが、一晩5,000円別料金で部屋で打つとなって諦めた。
朝まで打つのもしんどいし、誰かが打ってる側で眠るのもつらいし。
家族連れの先輩たちは部屋に戻ってそのままダウン。


僕は何度も露天風呂に入りに行く。
岩風呂と檜風呂。タイミングによってはひとりきり。
宿の裏がすぐ目の前に青々とした木々に囲まれた山。
真っ暗になってもその静かな存在感で迫ってくる。
お湯に浸かってじっくりと向き合う。川の音が聞こえる。
もうひとつの大浴場にも入りに行く。こちらの方が熱めでいい。
夜遅くに入ると広い湯船にまたしてもひとりとなる。


帰って来て部屋で布団に寝そべりながら
岐阜って実は日本で一番地味だよなあとか、たわいのない話をする。
先輩は寝ている。同期ふたりが起きている。
以下、体験談。遠洋漁業で数ヶ月海で過ごして、
戻ってきて数ヶ月陸で休暇を過ごすけどすることがないという漁師たちは
上野の雀荘に集まってくるという。
マグロを釣ったりするから暴力的なレートかと思いきや、点3だったらしい。
なぜか覚えている話。


午前0時前には皆、眠る。