保留期間

死んだら無に帰るのだとずっと思っていた。
そこから何億年経過しようと永遠の無。
天国も地獄もない。生まれ変わりもない。


最近別の可能性を考え始めた。
意識の残骸のようなものがどこかに残るのならば、
それが漂っている異空間もあるのではないか。
しかしそれは幽霊となってこの世に浮かんでるというものではない。


世界の果てにて一人きりで過ごす。
例えば僕はそれを生前に望んだので、海の見える丘の上の一軒家が与えられている。
毎日同じ日々が繰り返される。雨も降らない。季節も変わらない。
いや、望むのならばその日は嵐だって起こるだろう。
食べたいものが目の前に現れて、書庫には読みきれないだけの本が溢れるだろう。
人によってそれはゲームかもしれないし、ジオラマ造りかもしれない。
好きなことを好きなだけ行なう。
しかし、一人きり。それだけは変わらない。
たくさんの人々をそこに登場させるのも可能だ。
ただし、あくまで幻影として。人としての深みはそこには現れない。
自分が望む通りにしか、彼らは動かない。


そんな日々がいかに空しいか心の底から感じて
もう何もいらないと無常に至ったとき、スーッと無に還っていく。
保留というか留保というか。そういう途中段階が設けられている。
最近の僕の、死生観。


どこまでも引き伸ばそうと生にしがみつく人もいるだろうし、
すぐにも諦めがつく人もいるだろう。
どちらにせよ、そのときが来て振り返れば一瞬に過ぎない。
その先の永遠もまた、一瞬にして通過する。