二重惑星と衛星

一昨日書いた「辺境の惑星」の逆を考える。
星々が過密。かつ、生命を持つ惑星があちこちにある。


例えば、ある惑星AとBが二重惑星となっていて、さらにその衛星。
それぞれ独自に進化を遂げた生命というか人類がある。
ロケットを製造して互いを行き来するほどの文明には至っていない。
しかし、多少精度のいい望遠鏡をAが開発すると
向こうの星の出来事が分かるようになった。
政治・経済・文化の雰囲気から個々人の生態・生活まで。
Bもまた望遠鏡を開発する。


そうなるとすぐにAとBの間でメッセージを送り合うようになる。
共通の文字言語を有してはいないが、
YES/NO といくつかの数の取り決めができるとそこから先は速い。
それが最初惑星AとBの代表者同士によってなされていたのが、
やがて国家・企業・グループ・個人と単位が小さくなっていく。
ハンドブックに基づいて絵文字をやりとりする。
ペンフレンドだって生まれるだろう。

お互いの外見と性別の仕組みが同様ならば、恋人だって生まれる。
日夜恋文を交わすが、決して会うことはできない。
望遠鏡と絵文字越しの恋。
そのうちに電波で交信するようになる。
でもまあ、宇宙船は依然としてムリ。


そこに衛星が割り込んでくる。
人類とは外見の異なる、例えば緑色のスライムのようなもの。
実は最も文明が発達して彼らだけは単独で宇宙飛行が可能となる。
乗り物をつくるのではなく、
自らの外皮を高熱や真空に耐えられるようにして反重力を操作する。
AにもBにも自由に高速で行き来できる。
しかし、A・Bどちらの人にとっても大して役に立たない。望まれない。
言語体系どころか思考の枠組みすら異なって、意思の疎通もパッとしない。


星の間で引き裂かれた恋人たちはスライムを使って
なんとか今以上のコミュニケーションが図れないか四苦八苦する。
手紙を託せないかとか。
スライムは興味を持たないし、持ったとしても宛先を覚えさせることができない。
人類にとって彼らがざっくりとスライムとしか認識できないように
スライムの側も人類の違いが分からない。
なので何とかして託せたとしても公共の場にまとめて持っていくだけ。
あとは当事者が受け取りに行かないといけない。
例え星の裏側だとしても。


そんなこんなで100年か200年。
惑星A・Bどちらともなく宇宙船をつくるようになり、行き来できるようになる。
…そうなるとスライムが邪魔になってくる。三つ巴でさあ、どうするか。


例えばそんなクロニクルを思い描いてみる。