「2012プロ野球ドラフト総決算!プロ野球の見方が変わる野球講座2」

以前大変お世話になった方が『野球太郎』という雑誌を創刊した。
http://knuckleball-stadium.com/
これまで2冊出ている。分厚くてそれぞれ250ページぐらいある。
そのほとんどがドラフトの話。
1号目がドラフト前の予想・シミュレーションで
2号目がドラフト後の総括。アツい。
それだけじゃなく、2号だと巻末の方の
『ドラフト最下位氏名選手 田畑一也の場合』とか『池田高校あるある』とか
普通に読み物として面白かった。


その『野球太郎』の2号発売記念のトークイベントが
神保町の三省堂で開催されて、おお、これは職場から近いと参加した。
「2012プロ野球ドラフト総決算!プロ野球の見方が変わる野球講座2」
http://www.books-sanseido.co.jp/blog/jinbocho/2012/12/1214no.html
前回1号発売のときにも開催されて整理券をもらっていたんだけど、所用で行けず。
今回ようやく。(以下、敬称略)


開場する。三省堂1階正面玄関のところにパイプ椅子を並べて即席のステージにする。
後ろの方で見ていたのは、あの、甲子園で有名なラガーさんではないか…
20時半に始まる。流しのブルペン・キャッチャー安倍昌彦のトークが中心。
全国に出かけて実際にドラフト候補の球を受けているから
言うことの1つ1つに説得力がある。ディープな人のディープな話。
僕のようにそれほど野球に詳しくない人でも引き込まれる。
書店の大きなモニターに玉を受けたときの記録映像が映し出される。
楽天1位の東福岡校:森雄大の投球全5球か6球を5回か6回繰り返し再生して、
「おーいい玉投げるねえ、伸びるねえ」と皆で感心しているうちは序の口。


ロッテ2位の九州共立大:川満寛弥に至ってはコマ送り。
「ほら、ここで右足のつま先がずっと一塁を向いたままでなかなか地面につかずに
 飛行機のように滑走をして着地する。その間球は後ろの方で控えている。
 このタメがバッターにはいやらしいんだな」
「彼は高校時代に野球理論を誰からも教わったことはなく、
 自分で Youtube なんかで探していろんなピッチャーの投球を見て
 誰を真似するべきか研究した。自分で苦労して身につけたピッチャーは強い。
 何かがあっても自分で自分を治せる。
 誰かに言われてその通りに投げてきたピッチャーは壊れたときに自ら立て直せない」


はぁぁ…、感心させられた。言うまでもないが、野球、奥が深い。
帰りの地下鉄で『野球太郎』の川満寛弥の2ページを読む。
沖縄の無名校で3年の夏は初戦敗退。
それでも九州共立大の名白楽、中里監督に声を掛けられて
やがて当時大学生唯一のワールドカップ代表入りにまで成長する。


などなど。
130km台でも体感速度の速いピッチャーの方が後に長持ちするって
スカウトは分かってるんだけど、球団代表には言えない。
興味を示さないし、大成しなかったときに誰も責任を取れない。
だから140km台の速球派ばかりがドラフトでは上位に来る。
その他あれこれスカウト絡みの裏話が出てきたんだけど、…書き切れない。


後半は参加者から、どの球団のドラフトの総括を聞きたいか希望を募る。
即戦力であれ5年後であれ、どの選手が今後期待できそうかという話で、
決して1位の選手じゃないんですね。
中日は6位のシティライト岡山:井上公志がリリーフで即戦力へ。
高校大学とそんなに体を酷使していないから24歳の今、20歳ぐらいの体力年齢のはず。
阪神も6位の東洋大緒方凌介は今シーズン怪我に泣いたものの復活したら
後に半身を引っ張るリーダーとなるのではないか。
横浜も6位のセガサミー:宮嵜敏郎は野球センスはいまひとつだが、
今横浜にない突貫小僧的ポジションは貴重。


その一方で世間では高評価の意外な選手が
「アスリートとしては突出しているが野球センスはない(高校生が特にそう)」
「気持ちが向かってこない。背中に逃げを感じた」
「きれいにまとまりすぎて泥臭さに欠ける」
なんてあっさり斬られたりして。


いやーほんと面白かった。22時までの1時間半があっというま。
半日かけて全球団聞きたかったな…
『野球太郎』の3号が発売されたら、また続きを聞きたいものだ。