私的 NoiseTrade ガイド

以前アメリカの NoiseTrade というレーベルのことを書いた。
レーベル独自のサンプラーやライブやデモの音源集が
無料でダウンロードできる。


1-25ドルの寄付がほんとは望ましいけど
海外のサイトにカード番号を入力するのもなあと
僕は Twitter でのプロモートに協力するようにしている。
(ほんとはそっちも不要なようだ)


アルバムがたくさんありすぎて
そのほとんどが日本人には馴染みのない名前ばかり。
ガイドの代わりに、これまでに僕がダウンロードしたのを挙げます。
有名なアーティスト、あるいはジャケットから気になったものを。
★がおすすめです。


その他にも Ben Folds, Antenna, Flogging Molly, Calexico
といった名前を見かけた。
Saddle Creek レーベルのサンプラーもあったかな。


ここでたまたま出会った Josh Rouse や Holly Williams が気になって
HMV でアルバムを取り寄せてみる。そういうサイクルが続いている。
自分の知らなかった音楽やアーティストと出会うのに
NoiseTrade はとてもいいですね。


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Rachael Yamagata『The NoiseTrade Loft Sessions Mixtape and More』★
 http://noisetrade.com/rachaelyamagata


 2012年11月にダウンロード・オンリーで発売された『Heavyweight EP』
 と双子のような関係。ピアノが中心のアコースティックな曲が並ぶ。
 アウトテイク集なんだろうか? それにしては曲がいい。
 『Heavyweight EP』に収録された「It'll Do」や
 『Loose Ends EP』の「Parade」なども入っている。
 単なるサンプラーではなく、1枚のアルバムと捉えてもおかしくない内容。


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■Holly Williams『Holly Williams: Introduction』★
 http://noisetrade.com/hollywilliams


 最近公開されたばかり。トップページで見かけて気になった。
 全然知らなかったんだけど今までに何枚かアルバムを出している。
 ジャンルで言ったらオルタナ・カントリー系か。
 今年2月に発売される新作『Highway』の曲を抜粋して
 ギターだけとかアコースティックなライヴ・バージョンで演奏している。
 トム・ウェイツのカヴァー「Hold On」も収録。
 『Highway』はなかなか期待できそうなアルバム。


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■Josh Rouse『Summertime』★
 http://noisetrade.com/joshrouse


 ナッシュビル出身、ヴァレンシアに移住したシンガーソングライター。
 いくつかは国内盤も発売されている。
 日曜に吹きぬける風のような、飾り気のない小粋な歌を歌う。
 こちらはこれまでのアルバムからのコンピレーション。たくさん入ってお得。
 新作『Josh Rouse and The Long Vacations』もダウンロード可能。


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■Marketa Irglova『Live from San Francisco』★
 http://noisetrade.com/marketairglova

 
 このような作品に出会うのが醍醐味だったりする。
ONCE ダブリンの街角で』で脚光を浴び、
 主題歌「Falling Slowly」でアカデミー賞の歌曲賞を受賞した
 マルケタ・イルグロヴァの2011年のソロ・コンサート。必聴。
「Falling Slowly」も最後、歌われます。


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■BOY『Music from BOY』★
 http://noisetrade.com/boy


 スイス生まれの女の子とドイツ生まれの女の子が
 ハンブルクで出会って結成とのこと。ドイツでは既に人気なのだとか。
 暗くした Au Revoir Simone みたいな。
 シンプルな何気ない曲なんだけど、何かが、”something”がある。
 2月にワールドワイドで発売されるアルバム『Mutual Friends』を僕も買う。


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■The Civil Wars『Live at Eddie's Attic』★
 http://noisetrade.com/thecivilwars

 『Barton Hollow』が2012年グラミー賞の最優秀フォーク・アルバム賞と
 最優秀カントリー・デュオ/グループ・パフォーマンス賞を獲得。
 確かにこの手のデュオでは頭2つぐらい抜け出た存在なのに
 残念ながら方向性の違いを理由に解散。もったいない。
 ギターとピアノのシンプルな演奏に、芳醇なワインのようなコーラス。
 ヴォーカルのジョイ・ウィリアムズは才能のある人なので
 これからソロで活躍すると思う。
 シャーデーのカヴァー「No Ordinary Love」も歌われます。


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■JD Souther『NoiseTrade Sampler』★
 http://noisetrade.com/jdsouther


 名曲の数々を提供し”6番目のイーグルス”ことJ・D・サウザー
 NoiseTradeは比較的若いミュージシャンのアルバムが多いので
 その父親の世代って珍しい。NoiseTradeの懐の広さを感じた。
 2009年の『If The World Was You』が24年ぶりのアルバムだったそうですが
 そんなブランクを一切感じさせない若々しい声。
 1970年代はAORで大ヒットしましたが、最近の音はジャジーです。


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■Sufjan Stevens『Silver & Gold (NoiseTrade Holiday Sampler)』
 http://noisetrade.com/sufjanstevens


 ドリーミーなシンガーソングライターとしてはもはや第一人者ですが。
 こういうの参加してそうだなあと思ったらやっぱりそうだった。
 まだ聞いてないけど、クリスマスソングを集めたもの。


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■Low『Plays Nice Places』
 http://noisetrade.com/low


 ポストロック/音響系の人たちとずっと思ってて
 このところご無沙汰にしていたらいつのまにか女性コーラスも入った
 アメリカン・インディーロックの良心みたいな感じになっていた。
 寂しさを知る優しさというか。こういう年の取り方もあるんだな。
 3月にはニューアルバムが出るとのこと。こちらはライブ音源で
 1曲目は Death Cab For Cutie のベン・ギバードが参加している。


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■Sloan『Select Singles 1992-2011』
 http://noisetrade.com/sloan


 以前出したベストアルバム『A Sides Win : Singles 1992-2005』を
 コンパイルし直した感じ。1曲目は「Underwhelmed」で同じだし。
 少しコンパクトになったかな。この手のパワーポップのバンドは
 たくさん詰め込まず、いい曲がいくつか続いてさっと終わるといいですね。


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■Rhett Miller『Live at Eddie's Attic』
 http://noisetrade.com/rhettmiller


 Old 97のフロントマン、レット・ミラーのソロ。
 ギターだけでひとり歌う。客席が近い。熱い。
 これまでに出たアルバムのジャケットを見ると意外とイケメンなんですね。
 しかもどのアルバムも自分の顔が写ってる。自分好き?


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Aimee Mann『NoiseTrade Sampler』
 http://noisetrade.com/aimeemann


 こちらは(エイミー・マン側からすると)お手軽なサンプラー
 ジャケットも『Charmer』そのままだし。
 名盤『Bachelor No2』から最新作『Charmer』まで1曲ずつで5曲。
 だったら映画『マグノリア』の主題歌となって有名な
「Save Me」を収録するかと思いきやしなかったのがエイミー・マンらしさか。


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■Chris Stamey『Chris Stamey Sampler』
 http://noisetrade.com/chrisstamey


 元 dB's のクリス・ステイミーの00年代以後の
 いくつかのソロアルバムからこちらも5曲を抜粋。
 その中のひとつは Yo La Tengo との『A Question of Temperature』
 1970年代から活動してる人だけど
 アメリカのインディー・ギター・ロックの良心とでも呼ぶべきか。


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Autechre『Tri Repetae』
 http://noisetrade.com/autechre


 NoiseTradeはシンガーソングライター系に限らずエレクトロニカなど
 いろんなジャンルを網羅してますが、驚いたのはこのオウテカ
 こちらは1995年のオリジナルアルバム。3枚目だったかな。
 珍しくNoiseTradeオンリーのサンプラーやライブアルバムではない。


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■A Guy Called Gerald『How Long Is Now』
 http://noisetrade.com/aguycalledgerald


 オウテカと比べると、この人ならまあありそうかなと。
 808 State の初期メンバーで今もベルリン在住なのか。
 3曲入りで詳しいことは分からないけど
 聞いてみたら表題作はチルアウト寄りのハウスだった。


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■Guster『Live Acoustic Sampler』
 http://noisetrade.com/guster


 アメリカのごく普通の”いい”ロックバンドなんだけど
 ヴァイオリンも入ったアコースティックな編成で
 曲のよさ、ポップさが際立ちますね。
 こちらはダウンロード・オンリーで発売されたアルバムからの抜粋。


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■Futurebirds『Exhume』
 http://noisetrade.com/futurebirds


 ヒゲもじゃのメンバーがいたり、写真を見てこいつら何歳なんだ?
 と気になってダウンロード。カントリー系ロックなんだけど、
 Fleet Foxes や Band of Horses から繊細さを薄めて、
 ガチャガチャときな臭さを密造酒で足しこんだ感じ。
 ギターがギャンギャンなってる曲がかっこいい。
 これを書いている時点で、Top Downloads の1番がこのアルバム。


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■Jars of Clay『Gather and Build: A Collection』
 http://noisetrade.com/jarsofclay


 今回取り上げる中では一番美しい曲を書くけど僕自身はフィットせず。
 草食動物化した U2 / Coldplay というか。
 『Essential』が出てるのでアメリカではメジャーなのか、と思いきや、
 クリスチャン系なんですね…。だから曲が思いっきり優しいのか。
(日本ではあまり馴染みがないけど、アメリカでは一大勢力)
 Sara Goves『Invisible Empires - Acoustic EP』もよかったです。


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■Jay Nash『Diamonds and Blood』
 http://noisetrade.com/jaynash


 ライアン・アダムス系の骨太・実直なシンガーソングライター。
 曲も唄も悪くはないんだけど、というかいいんだけど
 この手の歌い手はアメリカでは飽和状態なんだろうなと。既視感あり。
 その他、例えば Matthew Mayfield『A Banquet for Ghosts』もそんな感じ。


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■Kyler England『NoiseTrade Sampler』
 http://noisetrade.com/kylerengland


 こちらもまた、今、アメリカの女性シンガーソングライターって
 こういう感じのが基準なんだろうなと。
 ピアノやギターによるオーガニックな音ではなく
 打ち込みを使って現代的で都会的な音を聞かせる。
 単館係の映画ではなく、ドラマの主題化が似合うような。
 The Rescues というバンドも手掛けていて、そちらもNoiseTradeにあり。


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■Hillary Hand『Paper Doll』
 http://noisetrade.com/hillaryhand


 全然知らなくてジャケットが気になって聞いてみた。
 無料だから気軽に手を出せるのがいいですね。
 ピアノを弾きながら歌う、どこかマジカルで神経質なポップ。
 未来のレイチェル・ヤマガタか。
 解説を読んだら曲作りを初めて1年なんだとか。


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■Aaron Smith『Love Stoned』
 http://noisetrade.com/aaronsmith


 こちらもジャケットから。ジャンルは Pop / Rap となっていて
 Aaron Smith を検索するとフットボールの選手が出てくる。ここが元ネタか。
 最初ラップかと思いきや、ロックでもありポップでもあり。
 屈折しつつも笑い飛ばして、明るくカラフルで面白い音を出している。
 ちょっと気になる。一昨年出した曲は LMFAO が絡んでいるようだ。
 http://aaronsmithmusic.com/site/


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■Katie Herzig『Nothing! Shhhhhhhhhhhh』
 http://noisetrade.com/katieherzig


 ジャケットがユニークだったので聞いてみた。
 ピアノから始まるエクスペリメンタル・ポップ。
 1曲だけなので判断つかず、他にも聞いてみたいところ。
 NoiseTradeをシングルの発表の場にするケース、けっこうあります。
 Twitterの自動プロモートを投稿したら
 本人のアカウントからお気に入りに登録されてびっくり。
 Low のときにもありましたが、そういうのってうれしいですよね。