オノクラ汁講その1

今日から年に一度のリフレッシュ休暇。
後半は北上を基点に三陸へ。
前半は編集学校の集まりで倉敷・尾道へ。
倉敷で集まるのは本当は土曜だけど僕は1人前の日から。
せっかくだからもう少し足を伸ばして
国産ジーンズ発祥の地:児島に行ってみたかった。


昨晩1時半に布団に入って、起きたのはいつも通り6時。さすがに眠い。
荷造りはしてあって、ガスの元栓すら昨晩のうちに閉めておいたので
あとは起きて着替えて出かけるだけ。
会社員が通勤で駅に向かう中、僕は大きなリュックサックを背負って歩く。


荻窪駅で新幹線の岡山乗換え、児島行きの切符を買う。
せっかくだから岡山から先、児島までの快速はグリーン車にする。
丸の内線で東京駅へ。今回旅の友として持ってきた本は
有吉佐和子『日本の島々、昔と今。』
1970年代末に書かれた離島巡りのルポルタージュ
今回瀬戸内海を巡るからちょうどいいかと。
(この本の中では登場しませんが)
北海道の焼尻島・天売島に始まって、種子島屋久島。そして五島列島へ。
ポルトガルに鉄砲をもたらしたとされる王直の足取りを辿る旅になって面白い。


東京駅では「mango tree deli」で
豚肉のガパオ、ヤムウンセン というサラダ、ベトナム風揚げ春巻を買う。
新幹線が走り出してささっと食べる。
エスニックなのでビールを飲みたくなるが我慢する。
朝っぱらから周りにそんな人はいないし、昨日から風邪気味だし。
最近よく聴いている Holly Williams 『The Highway』を選んで
『日本の島々、昔と今。』を読み進めつつ、大半を寝て過ごす。
08:10 - 11:30 のぞみ15号 博多行、名古屋を出て曇り空が雨となる。


新大阪を出て新神戸をさらに西へ。
新幹線でここまで来たのは初めてだ。岡山で下りて乗り換え。
11:42 - 12:03 マリン・ライナー27号 高松行。
「マリン・パノラマ27号」と切符には書かれているが
時刻表にも車両にもその名前はなく。あくまでマリン・ライナー。
6番ホーム。端の方が別の乗り場、7番ホームとなる。
地元の女子高生たちが通り過ぎる。
グリーン車は先頭車両の先頭の席だった。運転席のすぐ後ろ。
線路の上を快速列車が滑らかに進んでいく。眺めがいい。
きびだんごの看板。工業地帯に差し掛かって、白い煙突から白い煙。
川を渡る。住宅地の合間に刈り取ったあとの田が広がる。
灰色の空と相まって、町は茶色のイメージをもつ。
児島が近づいてトンネルを3つくぐる。
3つ目を抜けると遠くに瀬戸内海が見えた。


児島駅で下りる。ここで下りる人はほとんどいなかった。
みな、特にサラリーマンはこの先、瀬戸大橋を渡って四国へと向かうのだろう。
遠くの高台に観覧車が見えた。停止している。
駅のコインロッカーにリュックサックを預けて外に出ると小雨がぱらついている。
東口を出る。すぐ目の前に児島観光港。歩道橋を渡る。他に歩いている人は皆無。
閑散としたうら寂しい街を予想する。
桟橋に出る。小さな遊覧船が横付けされている。
入口に立入禁止とあるが開いていて誰もいない。そのまま歩いていく。
端の方まで行って海を眺める。これが瀬戸内海か。
僕は東北で育って東京が長かったから西のことを知らない。
38歳にして初めて瀬戸内海を目にした。
波がまったくない。穏やかに揺れている。
灰色の空を映し出して灰色の海。
空が晴れていたら、もっときれいな青い色となっているのだろう。


駅に戻って反対側、西側へ。
児島ジーンズストリートを歩いてかっこいジーパンがあったら買おうと思う。
外に出るとだだっぴろいロータリーがあるだけで他なにもなし。
下校途中(?)の中学生たちが騒いでいる。それ以外観光客の姿はなし。
駅前に大きなヤマダ電機の店舗がある。賑わっている様子もない。
道をまっすぐ行くと公園があって
人工の池から突き出した高いモニュメントが建っている。
何らかの校内放送のようなものが遠くに聞こえる。
寂れた商店街に出て、
もしかしてここがジーンズストリートかと思ったら正にそうだった。
ここジーパン屋なんだろうなあという店の多くでシャッターが下りて閉店。
平日だからか。完全にシャッター街。しゃれにならないぐらいの。
通りには何箇所かで電柱の間に渡した紐でジーパンを干している。
これが目印なのだが、力なく垂れ下がっているだけ。
かろうじていくつか店を開いていた。
カミカゼアタック」「Dania JAPAN」「桃太郎ジーンズ」
この3つかな。僕が気になったのは。