オノクラ汁講その3

(2/16(土)朝)

07:30 起床。ビジネスホテルに泊まってるときって
なぜかいつも言葉では説明つかないような不思議な夢を見る。
枕が変わるからか。
大浴場へ。やはり僕が1人。居心地いいけど宿泊者が少ないのだろうか?
2月。観光シーズンではない。
3月に入ると音楽祭が開催されると昨晩聞いた。
山陽新聞を読むとロシアで隕石落下。
死者はないものの墜落の衝撃波でガラスが割れて負傷者が1000人を超す。


昨日買った「桃太郎ジーンズ」を履こうと
タグを取るためにフロントに行って鋏を借りる。
08:30 チェックアウト。
駅まで戻ってリュックサックをコインロッカーに預ける。
大原美術館へ。
倉敷紡績の2代目社長:大原孫三郎が建てた日本で最初の西洋美術館。
5年間のヨーロッパ留学に送るなど
生涯に渡って経済的な援助をした洋画家:児島虎次郎が
同時代のヨーロッパで集めた印象派前後の作品がベース(本館)となる。
今は、柳宗悦に始まる民藝運動の影響を受けた工芸館や
中国を中心とすると東洋館、日本の現代アートを集めた分館、
児島虎次郎自身の作品を集めた記念館、オリエントの部屋などなど幅広い。
これが私設の美術館なのだから驚く。日本最大級だろうか。
http://www.ohara.or.jp/201001/jp/index.html


まずは本館。
モネ「睡蓮」やゴーギャン「かぐわしき大地」辺りが有名ですが。
例によってキュビズムに入った辺りから真剣に見る。
ムンクの「吸血鬼」やピカソの「鳥籠」がよかった。
もっとあとの時代だと
ジョセフ・コーネル「無題(ホテル:太陽の箱)」
クリスト「梱包されたポン・ヌフ」のラフなデザイン(?)
サム・フランシス「メキシコ」
これらかな。磯辺行久という作家の
西洋の紋章をモチーフにした作品も印象に残った。
(タイトルはメモし忘れた。「ミクストメディア」とあったのを勘違いした)
当時最大の先見の明をもって購入されたエル・グレコ「受胎告知」は
特別に一室設けられていた。
19世紀末以後の西洋近現代絵画を集めた美術館の中でこの作品だけが17世紀。
しかも再評価が進んだのはここ100年でのこと。よくぞ購入したよなあ。
児島虎次郎にも輝いて見えたんだろうな。
禍々しい闇が広がる中に神々しい光が降り注ぐ。


工芸館は今回最も面白かった。
濱田庄司バーナード・リーチ
焼き物を前にしてこれは素晴らしいと感じたのはこれが初めてかも。
民藝運動の作家であるため皿や鉢など日常生活で使う器がモチーフとなる。
なのになんでこんな鮮烈な形と色使いになるんだろうな。
(あとでしっかり画集を買った)
中でも芹沢ケイ介(金偏に圭)が素晴らしかった。
「伊曽保物語屏風」「新宮殿のための額絵」「極楽から来た挿絵集」など。
背筋がスッと伸びつつ大らかにユーモアを忘れないと言うか。
ポップでキッチュ。テイストは和風なのに無国籍なカラフルさ。
今回展示対象外で、後で画集で見つけた「沖縄絵図掛物」には度肝を抜かれた。
棟方志功も大きくフィーチャーされている。
解説には戦時中は毎年倉敷を訪れる、とあった。
ニーチェをモチーフにした作品があるとは初めて知った。
あの金釘文字の版画にて「ツァラトゥストラ」などとあるんですよ。


東洋館は駆け足で。
仏像、甲骨文字、鏡鑑、銅鼓、瓦獣、槍を持つ神将像。
外に出て新渓園というお屋敷と庭。
池の中の錦鯉がでっぷりと太っていた。
何を食べたらこんなに? 何歳? というぐらいの。
集まって群れて泳いで、僕が餌をやったわけでもないのに目の前で
水面に口を出してパクパクと呼吸する。
錦鯉はのちに倉敷川の歩いているときにもよく見たら泳いでいた。


分館。佐伯祐三はいいとして岸田劉生の辺りは苦手で。
最近の人のもあんまりピンとこない中で
小出楢重「松竹梅図屏風」
三瀬夏之介「ぼくの神様」 http://www.chukyo-u.ac.jp/extension/gallery/2009/09/002618.html
やなぎみわ「寓話シリーズ」http://www.yanagimiwa.net/fairy/index.html
この3つは印象に残った。
松井えり菜「サンライズえり菜」はインパクトありすぎて好きではないけど、
なにかとてつもない才能と感性の持ち主であることを感じた。
http://www.peeler.jp/review/1204okayama/index.html
(後に「AM倉敷(Artist Meets Kurashiki)」という滞在制作プログラムの
 昨年2012年の招待作家であったことを知り、
 思わずその図録を買ってしまった。このとき合わせて鯉江真紀子のも。
 会田誠山口晃が合同でやったのはなんとなく見送り)