オノクラ汁講その5

(2/16(土)夜)


駅を出る。すぐ目の前に瀬戸内海。そのちょっと先に向島。こんな近いのか。
工業地帯のクレーンが高々とそびえる。
中空の白い小型フェリーがゆっくりと行き来する。
振り返ると山が迫っている。斜面を家々がせり出すように覆っている。
そのてっぺんに城が建っている。城?
聞くと個人が建てたものとのこと…
(追記。尾道城との名で1960年代に弘前城を模して建てられた。
 展望台として利用されたが反対にあって1990年代に閉鎖。今は廃墟)


海沿いをしばらく歩いて
「安部旅館」に向かうための「尾道渡船」の渡し場を確認したのちに
(「他の3つの渡し舟に乗ると全然違う場所に着くため気をつけてください」)
17:30 夜の宴会の店として尾道在住のMさんに紹介してもらった「保広」へ。
http://yasuhiro.co4.jp/
ここで3人合流して9人となる。
編集学校の集まり、ほとんどが27破つながり(師範代と学衆)なので
自然と教室での出来事の話となる。
焼き牡蠣に始まり、ひらめやぶり、いか、たこなど瀬戸内海で取れる魚の刺身、
オコゼのてんぷら、(何だったかは忘れたけど)白身魚の煮付け、寿司。
広島の地酒も飲んだ。これも何だったか覚えていない…
何を食べてもうまかった。皆、ご満悦。


途中僕は一度店を出て、「安部旅館」にてチェックイン。
尾道渡船のフェリーに乗って向島へ。既に暗くなっている。
自転車に乗る女子高生。カブに乗るおっちゃん。
小柄の縮まったようなおばあちゃん。市民の足か。
座席はなく、舟はぽっかりと中空になっている。
平日の朝夕は通学の自転車や通勤のカブでいっぱいになるのだろう。
わずかばかりの細長い部屋が向かって右端にあって、
小さな電気ストーブが置かれている。
(僕は観光客っぽかったのか乗るたびにその中に入ることを薦められた)
舟がやってきて、接岸して乗り込んですぐにもまた岸を離れる。
車掌的な役割の年老いたおっちゃんに運賃100円を手渡しする。
3分ぐらいで向こう岸に到着する。
時刻表はなく、岸で待っていた全員が乗り込んだら走り出す。
ただそれだけ。
この「ただそれだけ」に風情がある。
大林宣彦監督の映画、例えば「さびしんぼう」で見たなあ。


店がひとつあるだけの寂れた渡し場。
宿の人と港の駐車場で落ち合って、貸し別荘へ。
二棟あって少し高いところにあって尾道の夜景が見渡せる。
なかなか眺めがいい。これは穴場だ。
http://www.ononavi.jp/staying/cottage/detail.html?detail_id=498


渡し場の前後を走る。
「保広」に戻って急いで煮つけと寿司を食べて、酒を徳利1本(1合)飲む。
21時、閉店近くになって店を出る。


2軒目もまたMさんお薦めの店「yes。」へ。
世界初のハンドクラフト&ボトルカフェであるという。
かつては民家だったところを改装して3階と屋上。
オーナーの方がひとりで店に出ている。
本来は内装や手作り家具などを仕事としていて、店を開けるのは土日月のみ。
自分でつくった椅子や売り物のルアーが押入れに並んでいる。
奥には等身大?のキリンが2体とその手前にハンモック。
(Rさんが横になってお気に入りとなり、離れなくなる)
飲み物はボトルだけ。栓抜きだけはたくさんある。
世界一激辛のジンジャーエールを飲んで、その次はビール。
Brew Dog」というスコットランドのブランドの「Libertine」
他にもモロッコやメキシコなどの世界のビールや、
世界一と称された皇室御用達のコーラなど。珍しいものがいっぱいある。
尾道にいてどうやって探すのかと聞いたら主にネットだと言う。
屋上を見せてもらうと客は誰もいないのにきちんとキャンドルが灯されている。
聞けば尾道好きの茂木健一郎やその他有名な人たちもこっそり来るとのことで…


東京物語」が尾道を舞台にしているから
小津安二郎を敬愛するヴェンダースが写真家の妻を伴って尾道を訪れて
写真集を撮影したとかそういう話をした。
あとは尾道の「空き家再生プロジェクト」のことを聞く。
http://www.onomichisaisei.com/
尾道に惹かれて住み着いた人たちが行政の手を借りず、
助け合って独自に家をリフォームして生まれ変わらせているのだという。
草の根レベルの活性化が今のところうまくいっている。
なぜ尾道ではそれが可能なのか。気になる。コミューンっぽい。
困った人がいたら山の上まで荷物を運んであげるというレベルに始まり、
こっそり電線を引いたり水道工事のできる人がいるとのことで…
街を歩いているとどこかに裂け目があって不思議なものが舞い込んでいる。
そんな印象を受けた。この惹きつける力、
薬局でもないのに店の中にサトちゃんの頭部を飾っていたり
というトマソン的なものが
通りのあちこちにあったりするのと何か関係があるのだろう。


22:30 尾道渡船の最終の前に店を出る。
クレーンが緑色にライトアップされている。
Mさんに尾道のうまいお好み焼きの店を聞くと「村上」と「野口」
朝早くからやっている店は「しみず食堂」と「パン屋航路」
その他お薦めとして「やまねこカフェ」
歩いていると尾道ではけん玉がはやっているという話題になる。
Mさんもまた周りの人たち同様に「マイけん玉」をもっている。
尾道渡船の渡し場近くにけん玉カフェなるものがあった。
しかし明日は向島駅伝のため店を閉めるとのこと。


フェリーに乗って島に渡る。
宿の管理人の方から借りた懐中電灯で足元を照らして坂道を上っていく。
宿に戻って、男女別に1棟ずつ。
男性側は倉敷の酒を飲みつつあれこれ話しているうちに 01:30 を超える。
学校のことなど話す。
プロの噺家であるCさんの話は面白かった。今回も和服で参加。
大漁旗などを全国から集めてつくったという鞄が素敵だった。
パッチワークされて樹脂加工?された布の中にはねぶた絵もあった。
つまみはMさんからもらった「さより」
シャワーを浴びて眠る。