オノクラ汁講その8

(2/17(日)夜)

坂道を下りていって、商店街まで戻ってくる。
昼は昨晩Mさんから聞いた「やまねこCafe」にしようと検索してみたら
地図に出てきたのは新尾道。徒歩では無理。バスかタクシーか。
こりゃ困ったなと話していたらガイドブックを取り出したJさんが
同じ名前でもう一軒あると。海沿いの道に出たらすぐ近く。
Mさんが言ってたのはそっちの方か。
しかし、地元でも人気の店で満席。
カラフルで下北沢か高円寺かってセンスのよさ。
地元の若い人たちのアート作品を飾っているという。
http://www.ononavi.jp/eating/tearoom/detail.html?detail_id=604
もしかしたら1時間後ぐらいに空くかもしれない、
名前と携帯の番号を書いてくれたら連絡しますとのことでそうしてもらう。


商店街を散策して時間をつぶすことにする。
尾道帆布 彩工房」
http://www.saikobo.jp/
特に僕は鞄関係で足りないものはなかったので帆船の模型を眺めたり。
他の人たちは「3-Way ポシェット」を買う。
本体の色が15色から選べて、ショルダーの紐は色も長さも変えられる。
その先には「大和湯」という昔の銭湯を利用した食堂兼特産品屋があった。
http://www.ononavi.jp/eating/tearoom/detail.html?detail_id=135


次はSさん御用達のコーヒー豆の店「classico」へ。
http://www.coffeeclassico.jp/
若いご主人はやはり外から移り住んだのだという。
最初はカフェを併設していたが、
豆販売に専念することにしたという熱の入りよう。
シックな佇まいの店にはシンプルに
産地の名前のついたコーヒー豆の入った瓶が並ぶだけ。
ケニア、イエメン、ニカラグアパナマ、ペルー、コスタリカ
これは確かにコーヒー好きがリピートしたくなる店だろう。


「空き家再生プロジェクト」の一環で生まれ変わった
「あなごのねどこ」というゲストハウスを見に行く。
建物には入れないものの、奥まで続く通路を歩いていってみる。
「おじいちゃんの家がこうだったなあ」と声が上がる。
併設している「あくびカフェ」は混んでて7人は入れず。
http://anago.onomichisaisei.com/


14:30 過ぎ。「やまねこCafe」は結局入れずに諦めて、
東に少し歩いていって「ら・ぽるた」というピザ屋を見つけて入る。
内装に木材をふんだんに使っている。窯もあるようだ。
1970年代のものだろうか。
パンナム提供の「世界ムード音楽の旅」というレコード入りの
分厚いカラーのヴィジュアルブックが壁に飾られていて、欲しくなった。
ハワイに始まり、スペインやブラジル。音の世界一周。
お金持ちになることがあったら、金に糸目はつけずに全集を買い取ろう…
ベジタリアン、タコ、ペスカトーレなど頼んでビールを飲む。
サラダを頼むと生地の上に野菜が乗ってくる。
デザートのアイスもそうなるっぽい。
ピザにビールは最高ですね。
まったり過ごして最後コーヒーを飲んで、この日は終わりとなる。
尾道駅に戻って、解散。


車をロープウェー近くのコインパーキングに停めたというSさんと歩いていく。
学校のことなどあれこれ話す。
ロープウェーの駅に着いたらちょうど最終の 17:15 発が出たばかりだった。
Sさんに車で送ってもらうことにする。
せっかくだからと券売所の脇あった「茶房こもん」に入る。
大林監督の「ふたり」でロケに使われた。見た目はよかったけど
働いているのがバイトの高校生っぽくてそこがイマイチだったな。
でもSさんが食べていたブルーベリー・アイスクリームのワッフルが
おいしそうだった。
サンスクリット哲学や言葉・物語・歴史・世界について話す。
絶対的なものは、存在するのか。


18:30 Sさんの車で「千光寺山荘」へ。すっかり暗くなっている。
そこでお別れ。
部屋に入ってだだっ広い和室を前にしたとき、妙に寂しい気持ちになった。
それだけ土日の倉敷・尾道が楽しかったのだろう。


窓から尾道の夜景を見下ろす。
20:00 荷物を片づけてこれまでのことを書いた後に外に出る。
昼を食べたのが遅かったので少し腹が減ってからにした。
フロントの人に駅前に出る道を聞いたら
道なりに歩いていったら「お城」に出るから
そこから階段を下りていけばいいという。
ひと気のない真っ暗な道を歩く。
千光寺山荘の付近にもホテルや民宿があったが、休業中だった。
お城の前まで来る。「全国城の博物館」とあった。ペンキで落書きされている。
明かりの灯っていない城が暗闇の中に埋没しているのは異様な光景だ。
急な石段に出て、滑るように下りていく。足元に灯篭が灯っている。
踊り場のようなところに出て尾道の夜景を見下ろす。
尾道渡船の向島側の渡し場にはパチンコ屋があった。
昼間だと白茶けてやってないように見えたけど夜だと
看赤に黄色と看板のネオンサインが煌々と点っている。
民家の間を縫うように坂道が続く。誰もいない中学校か高校の校舎と校庭。


駅前のアーケードの商店街に出る。昨晩飲んだ「yes。」のビルの脇に出た。
尾道ラーメンを食べようかと探す。
昼に通りがかって行列になっていた店へ、
「朱華園」「尾道壱番館」「つたふじ」と思うがどれも閉まっていた。
尾道の夜は早い。既にどこもかしこもシャッターが下りている。
鉄板焼きの店と飲み屋ぐらい。
ラーメン屋はいくつか開いてなくもないが
店員が暇そうにしていてたいしたことなさそう。
そんなにおなかがすいているわけでもないし、食べなくてもいいか。
コンビニで缶ビールを買って帰る。


日曜の夜。若者たちが歩く姿も少ない。
どこでどうしているのだろう?
観光客には見つからない隠れ家的バーにこもっているのか。
そういえばおしゃれな若者がいるのに、古着屋も中古レコード屋がない。
大きな本屋もヴィレバン的な本屋もない。若者が服を買うような店が皆無。
これは不思議。彼らはどこで服や音楽や情報を仕入れているのか。
ネットで調べて広島に出るとかそういうこと?
ここのところに気付いてから、尾道が気になって仕方なくなった。
ルーツやソースが分からない。誤解を怖れずに言えば突然変異のように思える。
そこにないからこそ、DIY的に必要最小限必要なことに、
「家」を再生するといった生活に密着したことに意識が向かうのか。
余剰的な、表面的なファッションではなく。


小雨の振る中、宿に戻っていく。
急な坂道をひーひー言いながら、息を切らして上っていく。
旅日記の続きを書く。23時で温泉が終わりと聞いたので22時に入りにいく。
僕がひとりだけで貸切。年配向けの旅館だと夜は早いのかもしれない。
出てきて缶ビールを飲みながら続きを書く。
気が付いたら寝たのは午前1時半。
ゆっくりするつもりが、昨日と変わらず。