砂の世界

黄砂の季節。
今年は「PM2.5」も話題になって例年より警戒されている。
今、外でマスクしている人は花粉症だけではなく、
海を渡ってくるもろもろを心配して、ということもあるだろう。


この世のあらゆるものは最後、砂に還っていくのか。
一頃、核戦争後の地球=砂に埋もれた世界 
ってステレオタイプなイメージがあったけど実際はどうなのか。
放射能とは関係ないように思う)


サハラ砂漠の入り口に立ったとき、でも確かに、
最後は砂になって後戻りはできないんだな、ということを痛感した。
あとは風に吹かれるしかなくなる。行き詰まり感がある。
これが何千年も前は例えば森だったとはにわかに信じがたい。


この砂を何か有用なものに変えようとする研究って聞いたことがない。
土に戻すであるとか。実はエネルギー源になるとか。
そればっかりはムリなのかなあ。


…ある日突然、どこからともなく風に乗って現れた砂が
来る日も来る日も続いて庭先を覆い、隙間から住居に入り込み、
生活を侵食する。片付けようにももっていく先がない。
線路が埋もれて電車が動かなくなる。
滑走路も砂だらけで飛行機が離着陸できない。
貯水池や田畑も砂に覆われ、新たな食糧は生み出せなくなる。
人類はあっさりと終わりを迎える。
なんらかの熱力学的な気象上の変化により風向きが変わって、
サハラ砂漠の砂が全世界へと広がる。


こういう作品ってもう既にあるだろうな。
小さいときに子供向けのSFで読んだ気がする。
結末は覚えていない。


未知の病原菌やウィルスならば立ち向かえる気もするけど、
相手が砂だと諦めざるを得ない気持ちになってくる。
無機的な無生物であるし。


人間の砂化。
指の先から砂になり、風の中に消えていく。