『ザ・マスター』『ホーリー・モーターズ』

月イチの会社休んで映画をハシゴの日。
朝、眼科で診察を受けたのち、「ねいろ屋」で特製のとりそばを食べて都心に出る。
日比谷のシャンテでポール・トーマス・アンダーソン監督の『ザ・マスター』
見終わって即新宿に移動して、レオス・カラックス監督の『ホーリー・モーターズ


最近何見てても映画館で寝てしまう。いい映画になるほど、そう。
疲れもそうだけど、開放感や幸福感みたいなのがあるんだろう。
映画を見に行くというより、ぼけーっと頭を空っぽにするというか。
で、波長が合うと眠ってしまう。
先日の『シュガーマン』は素晴らしすぎて前半ほとんど寝てた…
今回も『ザ・マスター』はところどころ寝オチ。途中ごっそり抜けてる。
ホーリー・モーターズ』もあちこちでカクッと。


『ザ・マスター』はそんなわけで大事なところを
多々見逃しているようにも思うのだが、
それでもひとつひとつのシーンの緊迫感がものすごく。
どこを切り取ってもいい。
サイエントロジーをモデルにしたとされる新興宗教のカリスマ教祖と、
側近としてのし上がっていく海軍上がりのアル中。
フィリップ・シーモア・ホフマンはデブのオタクだったはずが
今やアメリカを代表する名優に。神がかり的な演技だった。
ホアキン・フェニックスも今や若手実力派の代表格ですね。
このふたりが出てきて演技バトルなんて言われ方もしてましたが、
このふたりを配置するポール・トーマス・アンダーソン監督の
場面作りの巧さが何よりも際立っていた。
この3人の揺ぎ無い三角形を感じた。
ホアキン・フェニックスの乗った海軍の船の俯瞰。
それまでの生活を捨てるきっかけになったホテルのロビーの長回し
その日暮らしの農場宿舎を追われて外に広がる地平線。
(そしてそれを撮影するカメラの巧さ)


ホーリー・モーターズ』は
デヴィッド・クローネンバーグ監督の『コズモポリス』と迷った。
奇しくもリムジンに乗って1日を過ごす話。
レオス・カラックス監督は『汚れた皿』『ポンヌフの恋人』を
学生時代に観て僕もやられた方ですが、
『ポーラX』はなんのことやらさっぱり分からず。
一番よかったのは予告編で流れた、爆撃機から落とされる爆弾の映像だった。
今回もよく分からず。
ドニ・ラヴァン扮する男が朝から真夜中までリムジンに乗って
9個の「アポ」をこなす。扮装して物乞いになったり、殺人を犯したり。
それが何なのか、何のためなのか一切明かされず。
うーん、よく言えばロベール・ブレッソン監督の『ラルジャン』のように
言葉にならない気高さ、崇高さに近いものがないわけでもない。
一番近いのは黒澤明監督の『夢』かな。
短編オムニバスなんだけど、正面切って「よくわからない」「つまらない」
と言っちゃいけない雰囲気の漂ってるところが。
カイリー・ミノーグがよかった。


日比谷のシャンテではダスティン・ホフマン監督の「カルテット!」が満席。