Daisy Chainsaw

時々無性に、Queenadreena が聴きたくなることがあって、
最近はその前身バンド、Daisy Chainsaw も久しぶりに聞き直した。
ヴォーカルのケイティ・ジェーン・ガーサイドは
過小評価されている女性ロックミュージシャンのひとりであるように思う。
ジョニ・ミッチェルキャロル・キングに始まって
フィオナ・アップルレディー・ガガへと連なる「アーティスト」の系譜には
連なることのない、ひとりきりの表現者


Daisy Chainsaw はギターのクリスピン・グレイによって
1989年にロンドンで結成。
1992年に1枚目のアルバム『Eleventeen』を発表。
その後ケイティ・ジェーン・ガーサイドは脱退する。
似たようなタイプのヴォーカリストを立てて活動を続けるも、失速。解散。
当時1991年頃だったか、Rockin'on に載せられた写真が度肝を抜いた。
ステージに立つその姿は
ボロボロの無地のワンピースを着て裸足で恐らく泥だらけで
砂色の長い髪を振り回して右手にはユリの花束を鷲掴みにしている。
鬼気迫るものがあった。
こんな剥き出しの魂は見たことがない。すぐにも夢中になった。
Rockin'on に記事が出ると真っ先に読んだ。
ステージでキューピー人形に穴を開けたとか、
エキセントリックな話題ばかりだった。


当時のライブ映像。「Love Your Money」グラマラスなパンク。
http://www.youtube.com/watch?v=_qiXPpwtCxA


やがて、どういう人なのかが見えてきた。
ただ騒がしいだけのスター気取りではなかった。
人恋しくてもがけばもがくほどその手を伸ばせば伸ばすほど
孤独な空間が広がっていくような、そんな人だった。
僕らベッドルーム・リスナーが永遠に憧れるような。
不揃いで不完全であるからこそ、純粋無垢な存在になる。
傷だらけになるからこそ、この世の儚さに触れられる。


インタビューを読むと確かヒッピーだった親と共に
舟の上で暮らしていたんだったか。
以前書いた Sandi Thom「I wish I was a punk rocker」は
1969年のように花を髪に挿した
1977年のパンクロッカーのことを歌っていたけど
それはまさにケイティ・ジェーン・ガーサイドのことだった。
Daisy Chainsaw 脱退後はしばらく身を潜め、湖の側に暮らしたのだという。


1999年にクリスピン・グレイと再会し、Queenadreena を結成。
より光と影のコントラストを増したロックとなる。
2008年の「Djin」が最後の作品となるが、現在、新しいアルバムを制作中と聞く。


ライブ映像「Wolverines」その姿をよく表わしていると思う。
http://www.youtube.com/watch?v=K2oAU7l4uuk


ライブアルバムにもなった「Live at the ICA full concert」
http://www.youtube.com/watch?v=esWFdIhpmpE