U2『The Joshua Tree』

ダニエル・ラノワの自伝を読んでる。
自然と U2 を聞き直すことになる。
特に1987年の一大ベストセラー『The Joshua Tree』
ダニエル・ラノワとイーノがプロデューサーだった。
これまで曲がいいアルバムだと思っていたけど、
実はそれ以上に音がいいアルバムなのではないか。
ようやくそんなことに気づいた。
ニコンポやiPhoneで聞くのではなく、LPを大きな音で。
ダニエル・ラノワの発言のひとつひとつを読む度にそんなことを思う。


当時僕は12歳か。ギリギリ、リアルタイムで知っている。
アルバムを買ったというのではなく、
世の中で話題になっているものとして、ニュースとして認知していたというか。
中学生のときに県立図書館にあったのを借りて聞いた覚えがある。
正直、地味すぎてなにがなんだかよく分からなかった。
1度しか聞かなくて、返した。
あの頃は The Beatles に熱中してて、
ようやく Led ZeppelinThe Clash に手を出したばかりで。
洋楽の勉強が始まってすぐ。
ポップなものかメリハリの効いたものしか区別がつかなかった。


高校に入ってレンタルで借り直してテープにダビングしたかな。
大学に入って寮でU2に心酔していた先輩と出会って、
「魂の叫び」のビデオを見せてもらってようやくそのかっこよさに気づいた。
来日公演も見に行った。「Zooropa」のツアーだったか。
前にも書いたと思うけど、ボノが電話を掛ける場面があった。
僕の見に行った日は時報で、ボノがキョトンとするという演出だった。
違う日は曙だった。(あの頃はかなりのビッグネームだったのだ)


『The Joshua Tree』を好きになったばかりだと
「Where the Streets Have No Name」
「I Still Haven't Found What I'm Looking for」
「With or Without You」
「Bullet the Blue Sky」
「Running to Stand Still」
というA面の名曲の並びにばかり夢中になるけど、
今聞くとB面の静けさの中の緊張感の高さも心地よい。
「Exit」と「Mothers of the Disappeared」の
クロージングの曲の並びには時々ハッとさせられる。


でもまあ今も昔も何よりもカッコイイと思わせるのは
あの砂漠で撮影したジャケットの写真でしょうか。
(そもそも「ヨシュア・ツリー」というのが砂漠に生える
 あの独特な形をした樹なわけで)
アントン・コービンが撮影。
エッジのあの帽子なんて中学生のときに
これがホントに最高のギタリストなのだろうか?
って思ったりしたけど、今見るとこれがまたたまらない。
放浪する孤高の哲学者のようで。


MTV全盛期の1987年に乾いた大地のようなギターロックのアルバムを出して
それが売れるなんてどういう奇跡なんだろうと最近まで思っていた。
でもダニエル・ラノワの自伝を読むとこれが出会うべきして出会った
邂逅なのだということを知る。