黒沢清『LOFT』

昨晩、黒沢清監督ので観てないのがあったと『LOFT』を借りて観る。
2005年。中谷美紀とトヨエツが主演というところが今、一番怖い。


黒沢清監督の映画は観てて面白いし、
劇場公開となると観に行きたくなるんだけど、
DVDを買ってもっときたいと全く思わない。
これってホラー映画だからってことではなくて、
記録の映画ではなく記憶の映画だからだと思う。


ちなみに、黒沢清とP・K・ディックは似ていると思った。
ガジェット(ディテール)にこだわるところ。
ワールドモデル広げても
結局はキャラクター間の閉じられたいざこざに終わるところ。


黒沢清監督って1980年代
最も才能のある若手が出てきたって感じがあったけど
その後あえて大成しなかったというか。
自ら器用に狭めてるような。


映画を撮らずにはいられない。皮膚呼吸のように映画を撮る。
ストローブ=ユイレ言うところの「映画獣」であると同時に
極めて「編集」的であるように思う。
何を省略するか、何を描かないか、方法論が徹底している。
日本の監督の中で最も明確な様式美がある。
あるいは(ホラー)映画史における過去の遺産の適用の仕方であるとか。
継承者にして次の世代への繋ぎ目の人、という印象がある。


最新作『リアル〜完全なる首長竜の日〜』も観たかったんだけど見逃した。
あの作品は原作も気になる。