信用金庫の出資証券 さらに続き

父の残した信用金庫の出資証券、寝かせていても仕方がないので
戸籍謄本を取り寄せて解約手続きについて聞きに言ったところ、
父が30歳の時に結婚を機に本籍地を杉並区に移していることを指摘され、
荒川区で生まれてからそれまでの間に実は結婚していて相続人が他にいる、
ということがないのを確認するために
荒川区の戸籍謄本を取得してほしい、となったのが先月の話。
戸籍謄本って本籍地にその人のこれまでの全てがあるんじゃないんですね。
移ってきたとなったら元の戸籍から「除籍」となるわけで。
その記録は元の役所の方にしか存在しない。
ふーむ。世の中のことをひとつ知る。


めんどくさいことは後回しにせず片付けておこうと
昨日休みを取って荒川区役所に行ってきた。
せっかくだから行きと帰りに都電荒川線に乗ってみることにした。
世田谷線と並んで都内最後の路面電車
小さい頃上京したときに乗ってなければこれが初めて。
いや、乗ってるんじゃないか。そんな気がする。


早稲田まで東西線で行って、そこから都電の早稲田駅まで歩いていくことにする。
この日あれこれと片付けたいことがあったのでゆっくり寝てるわけにもいかず、
かといって8時台だと東西線混んでるだろうなと
いつも通り6時起きで着替えて部屋を出る。
7時前。東西線は普通に座れた。7時半に早稲田に着いて都電の駅を探す。
通勤・通学で歩いている人がほとんどいない。そういうものなのか。
早稲田大学を取り囲むようにぐるっと回って、新目白通りへ。
小さな駅があった。ちょうど出て行ったばかりで、次のに乗る。
車両は一両のみ。バスよりも小さい。
終点にして始発ということもあって、
運転手が車両の両端にある運転席を反対側に移って、進行方向を変える。


早稲田では数人しか乗らなくて、なんだ空いてるもんだなと思いきや、
途中の駅でどんどん乗ってくる。特に池袋、大塚、王子、町屋などの駅の接続。
ラッシュの時間帯ということもあって
一時びっしりと身動きできないこともあった。
途中までは座っていたけど、
せっかくだからと後ろの運転席の方に行って
立ったまま柵にもたれて遠ざかる町並みを眺める。
駅と駅の感覚は短く、1分もすれば次の駅に到着する。
線路がまっすぐの区間だと遠くに前の駅が顔を覗かせる。
電車は駅前の小さな商店街の間をくぐり抜けてゆく。
踏切が下りて、通勤・通学の人たちが待っている。
小さな駅はバスの停留所のよう。線路に沿って草花が植えられている。
路面電車は目線の低さがいい。
ほんと道路を車に混じって走っている。
大塚と王子で急角度のカーヴがあった。
車の波を書き分けて進んでいくようでちょっとした眺めだった。
線路は半円を描くようなルートになっていて、王子がその頂点になる。
そこから先は道が狭く家々も密集してどんどん下町っぽくなっていった。


荒川区役所前で下りて区役所を探す。
標識に沿って歩いていくとすぐに見つかった。
ちょうど8時半の窓口開始の時間だった。
窓口の方に丁寧に応対して頂いて、戸籍謄本を3種類発行してもらう。
ひとつは祖父の名前から始まっているもので、
残りふたつは名前を初めて知る曽祖父から。正直違いがよく分からない。
いや、確かに並んでる名前の組み合わせが微妙に違うんだけど、
それがどういう意味づけによるものなのかが分からない。
眺めていると区役所の方が言う。
杉並区の戸籍は恐らくもうひとつ前のものがあるはずで、
それがないと間が埋まらないと。
え? そういうものなのか。なんだろう。
杉並区の窓口ではそういうこと言ってくれなかった。
僕も今回の一連のことを始めたばかりで、
父が筆頭になっている戸籍をとしか求めなかったからそうなったのか。
ひとまず役所を出る。


帰りもまた都電荒川線で。
駅までそんな遠くないはずが歩いているうちに道に迷って
逆方向に歩いている。地図を見ると終点、三ノ輪橋の駅が近いと分かって
じゃあってんでそこから乗っていくことにする。
早稲田まで端から端まで乗ることになった。
本を読むつもりが、差し込む日差しが暖かく
1時間の間ずっとうたた寝をして過ごした。


終点で下りて、今度は早稲田大学の中を突っ切っていく。
大隈講堂の前を通りかかる。
東西線に乗って荻窪へ。
せっかく休みを取ったんだし、こうなったらとことんやることやろうと
杉並区の窓口へ。
事情を話すと、ああそういうことですかとすぐ伝わり、
祖父が筆頭者の戸籍謄本を発行してもらえた。
当初目的としていた、荒川区にて生まれ、30歳が初婚であり
杉並に本籍地を移してそこから僕が生まれたということが
一目で分かるようになっていた。
というかこれだけあれば荒川区には行く必要なかったのでは…
まあ、いいか。銀行の方もその専門家ではないのだし。
都電荒川線に乗ることができたのだから、それで十分元を取った。