『ホットロード』

ホットロード (1) (マーガレットコミックス)

ホットロード (1) (マーガレットコミックス)

先日、紡木たくホットロード』全4巻と『瞬きもせず』全7巻を借りた。
ホットロード』を昨日読み終えた。『瞬きもせず』も最初の1冊だけ読んでみた。


舞台は横浜・湘南。
若くして暴走族のヘッドになった破滅的な16歳の少年春山と
その春山に出会うことで不良へと堕ちていく14歳の和希。
どこまでもピュアなふたりは、共に複雑な家庭環境の中で育っている。
儚い恋愛の物語であると同時に壊れかけた家族の再生の話が重ね合わされている。
ホットロード』は80年代後半の女子中学生のバイブルであろうか。
ちょっと不良に憧れる系の。
実際、クラスのヤンキー寄りの子たちが熱心に回し読みしていた。


読んでみると話は非常に単純で、感覚的。
それがそのまま絵というかコマ割になっていて、当時かなり斬新だったと思う。
ストーリーは主人公のふたりを描くためのガイドラインに過ぎず、
ふたりの気持ちがすれ違ったり、ふざけ合ったふとした瞬間に笑ったり、
といった間合い、呼吸の方が重視される。
その繊細さのグラデュエーションの変化だけが主眼というか。
1巻はなかなか入り込めなかったけど、
2巻・3巻と読み進めるうちにその独特の世界観、
この世界の切り取り方も悪くないなと思うようになった。
もちろん僕は和希よりも春山に感情移入しながら読んだ。


映画化されるんですよね。
あまちゃん」の能年玲奈が主演。
ピュアはピュアだけど、どうなんだろう。
幼さにかろうじて救われて、
虚無に落ちる二歩か三歩手前で立ちすくんでるようなあの感覚を演じられるのか。
現実の不良はピュアでも美しくもなくただただ荒んでいた。腐敗していた。
80年代の情景を10年代の映画はあくまでサラサラとキラキラと美化して描くのか。
恋愛ファンタジーだけになってしまったらつまらないと思う。


それにしても女性は『ホットロード』があっていいですよね。
その頃男子中学生は『ビーバップ・ハイスクール』だったわけで。
アレはアレで面白かったけど。
というか読み返してみたいね。