港というもの

某所に送ったメモ。こちらに残しておきたくなった。

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港とは input / output の交点であって、
内陸から運ばれてきたものが海を渡ったり、その逆があったり。
海から海へ、国から国へ、という中間点であったり。


いつ、どこで、誰が、なぜ、どうやって、何を運ぶのか?


人や物。
情報ということもあるだろう。
海辺を離れ、 Yahoo! のようなポータルサイトにも「Port」はある。


実際には淡々と「物流」として運ぶことが多いんだろうけど、
「港」と聞くとき、「人」を運ぶというとき、思い浮かべるのは
例えば異国の地に移民を、というときに飛び交った紙テープであるとか
そういう別れ。渡ったあとの長い苦労の年月。
そう、そこには物語を付与したくなるということ。


海という場にそもそもそういう効果があるのだろう。
僕が学生時代に映画を撮っていた時、
「主人公たちが最後海辺に行けばそれだけで映画になる」と言われてて、
たしかに僕も海辺でばかり撮りたがった。


(いや、物語とは限らない。
 そのコンテナに付与された情報は単なる「政治的な思惑」であるとか。
 聞いたところで気持ちが動くことのないような)


積み荷が「本」という港があってもよいのかもしれない。
そこにはかつてのアレキサンドリアのような図書館がある。


もっと単純に「言葉」の交わされる港。
様々な国の船が立ち寄って、そこでは様々な言葉が飛び交っている。
視点と、思いと。


港を行き交う人たち:
船長や船員。彼ら彼女たちを相手に商売をする人たち。
税関や検疫で働く役人たち。積み荷を運ぶ日雇い。
船員の帰りを待つ女たち。あるいは母と息子ないしは娘。
船に乗ろうとする旅人あるいは船を降りた旅人。
漁港で働く人たち。
市場で魚を(あるいは他の何かを)セリにかける人たち。
フェリーの切符売り場で働く人たち。
近くに住む人が犬を連れて散歩する。
海辺の屋台やレストラン。
船の解体修理工場。
川を下ってきた舟。筏のような。
徹夜明けの長距離トラックの運転手。
(擬人化された)カモメ。船内のネズミ。猫。
海辺をスケッチする人。釣り人。ジョギングする人。
怪しげなものを密輸する犯罪者たち。彼らを追うインターポールの捜査官。
移民を運ぶ船。豪華客船に乗る大金持ち。
金がなく、でも世界を見て回りたくて密航する若者。
老船乗り。老水夫。老機関士。見習いの若者。