ヤッケというもの

先日床屋で髪を切っていたら
最近の子どもはヤッケを着ないねという話になった。
どういうものを指すのか、知ってますよね?
今もないわけではない。
好日山荘石井スポーツで売ってるようなおしゃれなものは
とっくの昔に違う名前になったのだ。
例えば mont-bell のサイトを見てみると
「ソフトシェルジャケット」が最も近いであろうか。
これはもはやヤッケではない。
その名を聞いて思い浮かぶものは
ホームセンターやワークマンのような店で今も売られている、はず。


僕が子供の頃は秋になって寒くなると皆、トレパンの上に着ていたものだ。
一番人気があったのが黒っぽい紺色のアディダスのヤッケだった。
胸に白で小さくロゴが入っていて左腕に三本の白いライン。
まっすぐなファスナーも白。
小学生にしてみれば少し大人な感じがした。
昭和の隠れた名作だと思うんだけど。今も売ってるのかな。
さすがにないか。
ちなみに、ウィンドブレーカーは当時もっと別なものを指していた。
風よけのヒラヒラしたのがついているような。


普通の家の子はアディダスだった。
あるいはそれに類するスポーツメーカー。
見たことのないロゴを左胸につけたくすんだ色のヤッケを着ている子もいた。
スーパーの2階で買うような。
いつもそればかり着ている。冬が近づいて雪が降り出しても。
あのときの彼らはどこに行ったのだろう?
今、どうしているのだろう? と思う。
僕は着てなかったけど、母子家庭だったから似たようなものだったと思う。
ギリギリまでトレパンだけを着て朝昼晩と過ごしていた。
そういう子も今となっては見かけないですね。


床屋で髪を切ってると、通りがかった子どもたちを見て
「今は中学生も平気でキャリーバッグ引いてるね」と。部活動の旅行なのか。
そうだった。僕らの頃はリュックサックだった。
荷物は自分で背負うものだった。
トレパンを着てるけど、かなり洗練されたものになっている。
僕らの頃はまだ膝にツギを当てている子もいた。
それを理由にバカにされることはなかった。
野球にサッカーに、転んでしょっちゅう穴を開けたものだった。
現代のそれはプロ仕様の高級で丈夫な素材でちょっとやそっとじゃ破れないのか。
それとも子どもたちは危険だから滑りこんではいけませんと言われているのか。
いや、いや。なんてことなかったかのように都度新しく買い直しているのか。


そういうことを考える一方で
ヤッケ+トレパンブームが来たら駅前に出るぐらいの外出が楽になっていいな
なんてことも思う。