那須塩原 その2

8/16(土)のこと。


14時過ぎ。次は藤城清治美術館に行くことになる。北の方にある。
地図を見るとすぐ。しかし、ナビによれば渋滞しているという。
「一軒茶屋前」という交差点にてふたつの道路が合流することになっていて、
これが信号待ちで交互に進んでいるようだ。
ここは地元の人からしたら誰も利用しない渋滞の名所か。
結構時間がかかった。
那須温泉郷に近付いて、藤城清治美術館は企業の保養所や
高級なホテルの立ち並ぶエリアの奥にあった。
やはり第一駐車場はいっぱい。第二駐車場へ。
小雨が降り続く。きれいに舗装された林の中の小道を歩いて行く。
曲がり角になると影絵の小人が道案内していた。
本館から離れて、小さな教会があった。ステンドグラスに藤城清治の影絵が。
本館に入る。1,600円。写真撮影不可。
2,100円の特製使い捨てカメラを購入すると撮影してよい。
その収益の一部は東北大震災の被災地への募金される。
http://www.fujishiro-seiji-museum.jp/


館内は迷路のようになっていて
風の又三郎」や「孫悟空」や聖書画といった作品ごと、
東北大震災や『暮しの手帖』の挿絵、「ケロヨン」などのテーマごとに展示がなされ、
その隙間隙間に1960年代から2013年の新作までがアトランダムに? 差し込まれている。
「つり橋は僕のハープ」や「月光の響」「小さな恋の物語」といった代表作もあった。
観覧車や地球儀や木馬、窓が花で埋まったビルといった
藤城清治的モチーフのオブジェを円形のステージの上に配置して
それを回転させながら映し出して自動演奏の影絵にするというのが興味深かった。
一番奥の部屋には3つの作品。
「魔法の森に燃える再生の炎」「清水寺」「大曲の花火」
これら手前に水槽が置かれてロウソクを模した灯りが備えられ、水面に影絵が反射して揺らめく。
左右は鏡が設えられ、覗きこむと向こうまで永遠に、影絵を見ている僕の姿があった。
2階に上がると創作室のように素材や制作風景のあれこれが展示されていた。
ミュージアムショップにて画集を買う。
2014年版は最新作「風の又三郎」が追加されてその分高くなっている。3,700円。


15時半。雨の降る今日は早々と宿に向かって温泉で温まろうということになる。
ナビに登録する。那須塩原と一言に言うが、塩原温泉郷は意外と遠い。
「NASUのラスク屋さん」や「那須高原チーズガーデン」というのをよく見かける。
手作りハムやソーセージの店も多い。プチセレブな町。
食事だとステーキハウスとイタリアン。一昔前のブームに乗ってそれっきりというような。
気になったのは「戦争博物館」駐車場には結構車が停まっていた。
終戦記念日の翌日だっただけになおさらなんか怖かった。
あとでホームページを見て、冷やかしで入ったりしなくてよかったと思う。
http://www.nasu-sensou.jp/


ラジオで高校野球を聞く。
藤城清治美術館を出て走りだした時はちょうど、
盛岡大付属が東海大相模に1点差で勝ったところだった。


なんかどうも右後輪のタイヤが凹んでいるように見えると
塩原の入り口まで戻ってきて、
家族で経営していると思われる小さなガソリンスタンドに入って空気圧を診てもらう。
年取ったお父さんが雨の中、チューブを持って前後左右に走り回ってくれた。


塩原に入ると山道でウネウネと曲がりくねる。
トンネルをいくつかくぐりぬける。
できたばかりの真新しくてモダンな施設や高層マンションのような巨大ホテル、
昭和の時代からの古き良き日本旅館や民宿とが混在し合う。
この日訪れる「明賀屋本館」は
大網温泉、塩釜温泉、中塩原温泉塩原温泉郷に10個ある温泉のうちのひとつ、塩の湯温泉にある。
これがまた大変わかりにくいところにあって。
ナビがピント外れなことを言い出したり、曲がり損ねたり、
とりあえず行ってみたら行き止まりだったり、同じ名前の閉館した旅館に着いたり。
大江戸温泉物語がこの界隈にも進出していることに驚く。
もはやこんな細い道を向かった先にはないだろうと諦めていたところにようやく見つかる。
山奥の人里離れた渓流の旅館。
木造の改段を88段下りていったところにある露天風呂は絶景で
岩場の多い鹿股川、切り立った崖を眺めながらのお湯はとてもよかった。
僕がこれまで「露天風呂」と称する一面だけ外に向いた室内風呂なんかよりは段違いでよかった。


しかし、衛生面やサービス面では古きよき昭和の旅館のまま。
これで「一力」より高かったのか…
若い人はリピーターにならないと思う。
仲居さんの御膳の扱いが雑でそれでいていつもブツブツ言ってて。
なんだかなーという感じだった。
お茶がなかったり、醤油がなかったりで何度もフロントに電話をした。
携帯が圏外で、メールや LINE や facebook から離れられたのはよかった。
塩原温泉郷も他はだいたい入った)


前菜なのか、名物のゆづ柿、ほたるいか、大根、枝豆。
鮎の塩焼きにレンコンの酢漬けを巻いたもの
陶板焼きは海老、牛ロース、しめじ、玉ねぎ、ブロッコリー、ニンジン、赤ピーマン。
豚角煮に冬瓜とゴボウ。
お造りははも、マグロ、甘エビ、アワビ。
青さの入った茶碗蒸し。
魚を南蛮漬けにして輪切りにしたものにダイコンとミョウガが添えてあった。
オクラとなんらかの山菜かキノコの入ったうどん。
ゆばとセリ、キノコの酢の物。
お吸い物にはふくろだけ。
日本酒がついた。
デザートにトマトのジュレとスイカ


夜、露天風呂に入りに行く。
午後22時半には椅子でウトウトして、23時には布団に入った。