那須塩原 その3

8/17(日)のこと。


朝7時前に起きる。朝は露天風呂が女性専用になるということで内風呂へ。
テレビをつけると近畿地方で大雨とのこと。
朝食は部屋で。
ごぼうの味噌漬け、わかめ入りの温泉卵、とろろ、じゃこおろし、焼き鮭。
昆布の入った鍋に火をつけて、モロヘイヤ・ツルムラサキ・ダイコンを煮て
塩を付けて食べる。これは旅館の朝としてはよかった。
夜の食事は今ひとつだったけど、朝は悪くなかった。
最後にもう一度露天風呂に入って、景色を目に焼き付けて旅館を後にする。


8時半。まずはまっぷるで見かけて気になった「新湯爆裂火口跡」へ。
温泉街から離れ、ナビに従って山道を右へ左へカーブを切りながらどんどん山の中へ。
日塩有料道路(日光と塩原のことだろう)「もみじライン」に入ると
(実際にはどこも徴収していなかったので無料で利用できた)
「カーブ41」「カーブ43」などとカーブに番号がつけられていた。
途中、塩原温泉郷のひとつ、元湯や新湯を通り過ぎる。
慎ましい温泉宿なんだけど、つげ義春的で好きな人にはたまらないんだろうな。


どうやらここだろう、というところに着く。
「ヨシ沼園地」とあって、富士山と称される山を介して東側で「大沼園地」と接する。
これを西へ片道30分歩いて、新湯ないしは「新湯爆裂火口跡」に出る。
早速歩き始めるが、山道。短パンとサンダルではかなり場違い。
虫除けを全身に振りかけて歩き出す。
必要最小限整備されているが、手取り足取り情報提供したりはしない。
道ができていて途中分岐はほとんどなく迷うことはないんだけど、
かなり歩かないと現在地の掲示がない。
これぐらいのほうがうるさくなくていいか。
最初のうちは林の中を歩いて鶯も鳴いていて、って感じで楽勝だったんだけど
途中、先日の台風の影響なのか大木が折れて道を塞いでいる。
引き返すのが賢明なんだろうけどこの道に接してすぐ側を国道が走っている。
まあなんとかなるかと幹や枝の間をかいくぐって先に進んだ。
国道から離れると下りの坂道。ここはしっかり木製の段が整備されている。
この辺りからは自然が深くなっていって
少し歩くと蜘蛛の糸に張られたのにぶつかってからまってしまう。
枝で払いながら進んだ。
ここの蜘蛛は水平にではなく、枝の間を摺り鉢を作るようにして巣を張っている。
虻や蜂も多く飛んでいて、気が抜けない。


20分ぐらい進んだろうか、アップダウンを繰り返すうちに視界が開けてきて、
それと共に子どもたちのはしゃぐ声が。
足元に新湯温泉の旅館が見える。新湯温泉へと通じる道もある。
ナビを頼りにここまで来たけど
もしかして旅館の駐車場に停めさせてもらったら5分もかからなかったのでは…
斜面は灰色の砂に覆われていて何やら火口跡と見えなくもない。
井戸のように掘られたところが丸く柵で囲われている。
ここなのだろうか? いや、遠くに湯気が立ち上がっているのが見える。
そこまで行ってみるか…
さらに10分ほど蜘蛛の巣を払いながら上って行くと強い硫黄の臭いがして、
煙が立ち上っていた。確かに立て札に「新湯爆裂火口跡」とあった。
それと共に「危険です! 立ち止まらないでください!」と警告が。
硫黄の煙を吸い過ぎて倒れることもあるのだろう。
タオルを持ってきて口元を覆うでもよかった。
写真を何枚か撮って後にする。
斜面はまさに賽の河原。むき出しの岩が生々しく赤茶けている。
膝ぐらいの背の低い掘っ立て小屋が建っていて、そこでは湯の花を作っていると書いてあった。


泥だらけになって車に戻ってきて最小限をタオルで拭いて、山道を下りていく。
足湯に入ってさっぱりしようと塩原の中心街で見かけた
日本最大級全長60メートルの足湯であるという「湯っ歩の里」へ。
http://www.alsok-shiobara.jp/
10時半過ぎ。車が結構停まっていて、そこそこ客が入っている。入館料200円。
30mの足湯の回廊がふたつ。
「やんわりほんわか心地よい道」「ぐりぐりせめる道」「ふみふみふみしめる道」
「やっとこがくがく岩をつかむ道」「でこぼこ岩をふみしめる道」「ちくちく小岩をふみしめる道」
とエリアが分かれている。入り口から近いほうがぬるく、奥に行くほど熱くなる。
ひと通り足湯回廊を歩いて、最後のところで腰を下ろす。
山道を歩いた後だけに気持ちいい〜
手を浸すとさらに気持よかった。
足湯回廊って都内につくったらヒットすると思う。
後から知ったんだけど、ここには夏目漱石室生犀星の文学碑、長塚節の歌碑があったのだとか。


雨が降っていたのでしばらく足湯でのんびりして、
やんだ頃に車に乗って塩原を東に下って「もみじ谷大吊橋」へ。
http://www.city.nasushiobara.lg.jp/kankou/2199/002956.html
上記サイトでは「全長320メートルで無補剛桁歩道吊橋としては、本州一の長さ」とある。
道の駅ならぬ「森林の駅」というおみやげ屋があって、アイスクリームを食べる。
栃木なのでもちろんレモン牛乳味。レモン牛乳キャラメルも後で買う。
以前おみやげでもらったことがあって、これはおいしい。
吊り橋を渡る。ものすごく太いワイヤーロープを6本かそれ以上束にして張り渡していて、
触ってみると鋼鉄の繊維がビンビン来るほど。
歩いていると揺れるけど、丈夫で立派過ぎてさほど吊り橋感はない。
全長10mでも全体が木でできているという方がよほど怖い。
感じるのは日本の科学技術の確かさへの安心感。
床は一応板を並べてるんだけど、隙間なくびっしりと。穴が空くこともないだろう。
途中から真ん中にグレーチングというのか金属製の網目状の溝蓋を埋め込んでいて
そこを通して遥か下の水面が見える。
高所恐怖症の人にはたまらないだろう。実際嫌がってる子どもも見かけた。


向かい側に渡ると西岡常一の唯一の弟子小川三夫がつくった祠がある。
こちら側は東屋があったり公園のようになっているけど休憩所も賑わってなく寂しい。
老人が店番をしているフリーマーケットのような店がふたつあった。
ここでもまた虻に追われる。
少し歩くと塩原ダムがあって、ものすごい勢いで水が噴射されていた。
本を読むと太陽光発電風力発電もそれほど効率がいいわけではないし
つまるところ水力発電が最も地球にやさしいのだろうか、
などと考えるが渇水の時期になるとたちゆかなくなる。
新しく作るとなると水没する村も出てくるだろう。なかなか難しい。