昼休み、新宿中央公園、快晴

一昨日、特定保健指導で西新宿の本社を訪れた時のこと。
昼休みに入って、1時間暇になる。
エレベーターで1階に下りて何とはなしに外に出た。
西新宿駅から長く伸びた地下道を歩いて
コクーンタワーの「Book 1st」に行こうかと思った。
だけどあまりの天気の良さにふらっと気が変わって、
青空の下、新宿中央公園まで歩いて行った。
ポカポカと日差しを浴びてベンチでのんびりすると気持ちいいだろう。


交差点を渡って階段を上り、中に入る。
小さな広場があって、僕より少し若いぐらいのサラリーマンが
犬とサッカーボールを蹴りあっていた。
下はスーツ、上は灰色のセーターを着ていた。
ゆっくり右に左に走ってボールを取り合って、遠くに蹴ると犬が駆け出す。
昼休みにふさわしい、ほほえましい光景だった。
真っ白な、モフモフした犬。


…ベンチに座って、「待てよ」と思う。
犬はどこから来たんだ? まさか家から連れてきた?
公園に住みついてる野良犬に餌付けしてもああはならないだろう。
というか今、東京で野良犬を見かけることはめったにない。
うーむ。それとなく周囲を見渡すと新宿の高層ビル群。
オフィスであったり、マンションであったり。
オフィスがこの近くにあって住まいも徒歩3分の高層マンションか…
いや、この犬と共に電車に乗ってきて…


振り返ると既にいなくなっていた。
その代わりになぜか木陰で居合抜きかなんかを練習しているサラリーマンがいた。
木刀に見えるプラスチックの刀? をビュッと振って、
まっすぐ腰を下ろして居住まいを正す。
へー、と思いつつ、なんなんだ新宿の公園は?
なんでもありのゆるーく無法地帯なのか?


時間が来て、ひなたぼっこを終えて僕は本社ビルに戻っていく。
エントランスホールに入ると大勢のサラリーマンたちが
上の階へのエレベーターに乗るために行列を作っていた。
僕もまたそこに加わった。
無言の会社員たち。スマホを眺めている。
あの犬は今、どこで待っているのだろう。
あの彼もまた、どこかでエレベーターに乗っているのか。