先日どこかの店でユーミンが流れていたのがきっかけで
久しぶりに聞き直してみたくなった。
特に70年代の荒井由実時代のほう。
一昨年ぐらいに発売された3枚組のベストアルバム『日本の恋と、ユーミンと。』が
未聴の山の中にあったのを思い出し、月曜の夜に聞いてみた。
1枚目と2枚目。年代順ではなくアトランダムに並んでいる。
「やさしさに包まれたなら」「卒業写真」「あの日にかえりたい」など懐かしく聞いた。
80年代以後も「恋人がサンタクロース」「BLIZZARD」「Hello, my friend」といった
誰でも知ってる名曲にホッとする。
ふと思う。
ポロッともらしたらファンから殺されそうなこと。
「ユーミンって歌下手じゃないか?」
いや、音程が外れてるってことではなくて。
むしろ正確。(たぶん)楽譜通りというか。
なんつうか、棒読みなんですね。
情念のかけらもない。
「時をかける少女」なんて笑ってしまった。
とはいえ、中島みゆきのように情感たっぷりに歌ったらむしろ
CMや主題歌のタイアップはあれほどつかなかったんじゃないか、という気もする。
こういうことなんじゃないかと思う。
松任谷由実 メロディ+ストーリー
中島みゆき メロディ+メッセージ
聞く側が与えられたストーリーの枠組みに自分の思いを重ね合わせて、
それがメッセージとなる。自分のものになる。
だからあれだけの人に愛されたのだ。
中島みゆきの場合は逆に
中島みゆきの存在感(≒メッセージ)を聞いているんじゃないか。
ユーミンとは器。
日本の女性たちの恋する気持ちを掬い取ってきた器。
一方で中島みゆきはまさしくベストアルバムのタイトルにあるように大吟醸。
つまり中身の方。