Bo Gumbos『1989』『Go Go King Live !』

最近また Bo Gumbos を聴いている。
先日出た『1989』というボックスセットがすごくて。
その年に出た 1st アルバムにして名盤『Bo & Gumbo』の最新リマスターが1枚目、
その頃の未発表音源集が2枚目、『Bo & Gumbo』の最新ミックスが3枚目、
これまた名作というか当時度肝を抜いたビデオ
『宇宙サウンド』のボーナス映像付のDVDが4枚目。


『Bo & Gumbo』はこれまでどんなに曲や歌や演奏がよくても
どこか音がスカスカと薄っぺらくて残念な思いをしていたのがようやく!
特に3枚目はオーガニックなのにジャキジャキと尖ってて
Bo Gumbos のスタジオ録音はいまひとつという定評を覆す。
ほんと今までなんだったんだろ?


1枚目はボーナストラックとして当時のシングルを4曲。
「時代を変える旅に出よう」
「もしもし! OK!!」
Bo Gumbos」(featuring Bo Diddley)
「Big Chief(かわいいあの娘)」
どれもたまらんですね。
「時代を変える旅に出よう」と『Bo & Gumbo』の代表曲「ダイナマイトに火をつけろ」を
続けて聴くととにかくテンションが上がる。


しかしやっぱアルバムとしてはこの1枚目が別格であって、
その後のアルバムは個人的にはどれもピンと来ない。
上記4曲が冒頭に入った『Single Collection』も5曲目以後は
神がかっていたものがすっかり落ちてしまっていた。


なので Bo Gumbos はライヴアルバムがいい、特にデビュー前ということになって
『ずいきの涙』(ライブ・ベスト集だけど大半がデビュー前)
『LIVE at 磔磔 1988』(まさにその頃のハイテンション)
この2枚が甲乙つけがたい。
僕もそれぞれ発売当時に買って今に至るまで聞き続けてきた。
最近またヘビーローテーションしてる。


そんな中、ラストアルバムにして全曲新曲のライヴアルバムだった
『Go Go King Live !』を20年越しで入手して聴いてみた。
1995年『ずいきの涙』と同時に発売され、僕は『ずいきの涙』だけを買った。
同じライヴアルバムなのに片方はベストで、片方は新曲だけというところに
鬼っ子的匂いを感じたから。
その後出た Soul Flower Union 中川敬選曲のベストアルバムにも
このアルバムの曲は選ばれていない。


解散を発表したときの年末2daysの Liquid Room での演奏。
1994年12月30日。
かつてのようなノリノリ、押せ押せの曲はなく、大半がフォーク調のゆるい曲。
なんかどこかしみじみしっとりしているようで、どこか暗い諦めのようなものもあって。
だからそれがテンションを下げるかというとそんなこともなく、不思議な一体感を感じる。
たそがれ時の一枚。世間的な評価は低いけど、僕にとってはかなりよかった。
冒頭の「虹を見たかい?」がモロにフォーク直球ど真ん中。どんとのハーモニカが切ない。
4曲目の「エンジェル」は LA-PPISCH というか上田現のような奇妙キテレツなカラフルさ。
最後の「どうしようかな」は『LIVE at 磔磔 1988』にも収録されていた初期の未発表曲。
これをここにもってきたところが感慨深い。
他の曲もなんかどこか得体が知れないんですね。
変というのではなく。懐が深いというか。


次に再評価すべきはその手前、
「The King of Rock'n' Roll」
「Shout!」
「Jungle Beat Goes on」
カヴァー・ライヴアルバムの3部作であろうか。


ヴォーカル・ギターのどんとが2000年、37歳の若さで亡くなって早15年。
1月後半に出た『Music Magazine』の別冊『どんとの魂』も完売したのか、
そうそうに店頭から消えた。
僕は先週、プレミアが少し着いた新品を購入した。
ものすごく頭がいいのに、ものすごく明るいことを言う。
こんな人は他にいない。
こんなバンドは他にない。
時代がほんの少しずれてて、一度も見れなかったことを残念に思う。