Rain Street

女は雨の中を歩いていた
凍えそうな夜に傘も差さず、上着もなく
片足を引きずって
手にした何かが右手を離れても気付かない


男もまた雨の中を歩いていた
誰かに追われていた、それを振り切って
左手を壁に伝いながら
激しい咳の発作に身をよじらせる


女と男がすれ違う 雨が降り続く
女の手から離れた何かが 水たまりに浮かんでいる
それが目にした最後の光景だった
私はひとり3階の窓から見つめていた