Cowboy Junkies

Cowboy Junkies を聞き直す。
冷ややかな音。静謐な音。
最も平熱が低いのに、その息遣いがしっかりと感じられるような音。
その部屋には必要最小限の空調が入っていて肌寒くはあるけど、
屋外で吹雪にさらされているのではない、というか。
薄暗い部屋の中、椅子に座る人たちの輪郭だけが見える。
楽器を奏でてはいるがほんのわずかに身体を動かすだけとなる。


先日 Amazon のレビューを読んでいたら
ジャンルをオルタナ・カントリーと書いている人がいて、
ああ、そうか、世間一般的にはそういう捉え方なんだな、と気づく。
僕はなぜかいつもダブに近いものを感じていた。
音数の少ないギター、ベース、ドラムを配置する空間的な感覚。
特にベースが、リズムを刻むというよりも空間を埋めるためにフレーズを連ねていく。
でもまあ名前にもあるようにカントリーなんだろうな。


Cowboy Junkies - Sweet Jane (Official Video)
https://www.youtube.com/watch?v=x4XVJj4jER4


1985年にトロントで結成して今年30年か。
こんなに長く続くとはメンバー自信も思ってみなかったのではないだろうか。


名盤『The Trinity Session』(1988)の再現ライヴが
20周年ということで2008年に発表された。
それを最近ふと、CD棚から取り出してみた。
20年の間、アレンジも演奏の佇まいも全くと言っていいほど変わらない。
(冒頭の「Mining for Gold」もヴォーカルのマーゴ・ティミンズがアカペラで歌う)
ゲストとして参加したナタリー・マーチャントやライアン・アダムスらの
ヴォーカルが入って1番・2番交互に歌って、サビを一緒にというのが
アニヴァーサリー・イヤーならではのファンへのプレゼントか。
しかし、それよりも20年前にこのアルバムを録音した教会で
今回もまた演奏したというところの方が感慨深い。


その後オリジナルの『The Trinity Session』へと戻った。
このアルバムが成し遂げたこと、生み出してしまったものの異質さ、異様さ。
それが音として淡々と刻まれていく。
真夜中、一人きりで何かを待っているようなあの感覚。
ただその予感だけがわずかにあるような。


全く新しいものというのはありえない。
オリジナリティとは常に、過去にあったものを新しい視点で捉え直すということ。
Cowboy Junkies の方法論は30年前から何一つ変わらない。
だけど永遠に、新しい。