第32回冨里スイカロードレース大会 後篇

ストレッチで体をほぐした後に10時を過ぎてスタート地点へ。
相当な数のランナーがいて先が見えない。
スタートのゲートまでかなり遠い。
何分台で到着する想定なのかで最初の位置が異なっていて、
60分台や70分台はかなり後方となる。
10時半を過ぎて先頭は走り出したようだけど、僕らはノロノロと歩くのみ。
ゲートを通過したのは結局35分過ぎだった。


しばらくの間ダンゴ状態でそれ以上ペースを上げることも下げることもできず。
1kmを過ぎた辺りからようやく隙間ができてきた。
ゆっくり走っていくという妻たちを置いて僕は先に走っていく。
いつもの自分のペースをキープする。
このところ土日走っていたので自信がある。
脚力が身についてどうこうというよりも、
自分にとって無理のないペースにすぐもっていけるというのが
日々の練習のたまものなのだな、ということに気付く。
3kmまではきつかったけど、そこから先は楽に走れた。
後半、疲れてはいても走るのをやめたくはない。
スタートして70分後、10kmのゴールに着いたとき、
ああ、これは20kmぐらいまでなら走れるな、と思った。


10kmの大半がのどかな田園風景だった。
近くに住む方たち、その多くが子どもとお年寄りだったけど
家の前に椅子を出して座っていたり、もう少し若いと何人か連れだって立って、
ランナーたちに手を振って声援を送った。
あるおじいさんは、門の間に渡した紐にスイカのビーチボールをたくさん吊下げて
その後ろに座りながらにこやかに笑っていた。
このマラソン名物の、自宅からホースを引いて
スプリンクラー代わりにランナーに水をかける方がいた。
読売新聞を取っている人はもらえるのか、
箱根駅伝の中継で見かけるあの赤と白の旗を振っている人も多かった。


給水ポイントが1kmおきにあって助かった。
紙コップの中は基本、水。ポカリスエットになっているところもあった。
水を含んだスポンジを配っているポイントもあった。
水は少しだけ口に含んで中身の入ったまま道路の脇に捨てた。
スポンジは頭から水をかぶって首周りを拭いた。
そういう紙コップやスポンジが道路の脇にたくさん投げ捨てられている。
海辺の漂着物のように。
走っているとゴミ箱を持った人のところに持っていって
きれいに放り込むということがなかなかできない。
そのために立ち止まると走り出すのが辛くなる。
テレビには映らないけど、後片付けがこんなにも大変なものなのかと思う。


朝のうち曇って、スタート前にパラパラと来ていたのが
途中から雲が切れて晴れ間が覗いた。その途端蒸し暑くなる。
後半に入って妻たちが追いついて、追い越していく。
9kmの給スイカ所まではだいたいのところ一緒に走った。
その給スイカ所が着いてみるとお祭り騒ぎで。
皆が道路脇でスイカにかぶりついている。
次から次に切られていって、どんどんどんどん惜しみなくスイカが提供される。
今回一緒に走った方はこれが楽しくて毎年走っているのだという。
それもよくわかる。
スペインのトマト祭りでトマトを投げ合っているような、そんな開放感があった。


僕はスイカを食べず、妻たちよりも先に行く。
坂を上ってゴールも近づいた頃、
栄養ドリンクを配っているところがあったので僕も一本もらって飲んだ。
最後の角を曲がると沿道には多くの応援の方たちが
あともう少し! ラストスパート! と声援を送っていた。
無事、ゴールをくぐった。途中歩くことなく完走。
76分。初めてにしてはまあまあのタイムか。
少し先にボランティアの方が大勢待っていて
シューズに括り付けたナンバーカードの針金バンドを切り離してくれた。
給水テントで麦茶をもらうと、中学校の校舎脇の水道で顔を洗った。


12時過ぎ、市役所の玄関に敷いたビニールシートに座って待っていると妻たちが。
イカを3個も4個も食べている間に80分のタイムアップを過ぎてしまったという…
腹の減った僕は近くの背店のテントでハーブ入りのソーセージを食べる。
その後スイカを配っているコーナーへ。
走った後のスイカは瑞々しく、とてもおいしかった。
走り終えたランナーたちの笑顔でここもまたお祭り騒ぎ。
広場の真ん中にはコンテナをひっくり返したような巨大なゴミ箱がいくつも設置され、
イカの皮を捨てる。種は地面にそのまま出してしまう。


JAに寄って皆スイカを買っていく。
僕ら夫婦はスイカは買わず、直売所の野菜を買っていく。
ネギ、小松菜、青梗菜、インゲン、サニーレタス、黒枝豆、ミニトマト
カブ、ピーマン、水菜。ベーコンとハムも。
これだけ買って3,000円しなかった。


またシャトルバスに乗って酒々井のアウトレットパークの駐車場へ。
しかしこの行列が気の遠くなるようなことになっていて結局1時間近く待っただろうか。
その間雨も降りだした。
イカがとにかく重い。


ようやく車に戻ってくる。スイカを後ろに積み込む。
本来は温泉に入ってその後ウナギを食べに行く予定だったのが
時間も押してるとアウトレットパークで食べて帰ることになった。
14時過ぎだというのにどの店も混んでて行列。
一番待ってる人が少ない和食の店に入った。
ショーケースにあったプレミアム親子丼というものにする。
卵でとじた丼にクリスマスのようなローストチキンが乗っていた。
ビールを飲みたかったがメニューにアルコール一切なし。
もしかしたら皆ここまで車で来るから、提供していないのかもしれなかった。


雨の降る中を東京に戻る。
僕は疲れて起きていられず、いつのまにか眠ってしまっていた。
水天宮で起こしてもらい、半蔵門線で帰ってきた。
直通だと30分も掛からない。
銭湯に入って温まってから帰った。
買ってきたばかりの枝豆を茹でて、ネギは蒸し器で蒸してごま油を。
ビールで乾杯。
初めてのマラソンがうまくいって、おいしくないわけがなかった。