『雪のひとひら』

先日、中野ブロードウェイの Recomints に中古CDを買いに行ったときに
ポール・ギャリコの『雪のひとひら』を朗読しているアルバムを見つけた。
すごいメンツで、2枚組の1枚目、日本語版の朗読が矢野顕子
2枚目の英語版の朗読がピーター・ガブリエル
音楽が井上鑑とデイヴィッド・ローズ。
ピーター・ガブリエルの80年代のバックを務めていたギタリスト)


ポール・ギャリコは妻の勧めで
『猫語の教科書』と『ジェニイ』を読んだばかりだった。


1993年の作品。
ブックレットには『雪のひとひら』の抄訳も載っていた。
極限的なまでに削ぎ落とされた、普遍的で寓意的なストーリー。
矢野顕子ピーター・ガブリエル
いつもの歌っている声とは違うのが新鮮だった。
ふたりとも案外普段の声が落ち着いていて優しい。
いつか子どもに聞かせたい、一生もののアルバムですね。


解説を読んでいたらこれは
東芝EMI内のレーベル「disques KIZNA」の一環として制作されたようだ。
「初めてのクラシック」というシリーズがあって
ぞうのババール』は忌野清志郎が朗読となっていた。
これは昔どこかでその存在を聞いたことがある。
もう手に入らないだろうな、あってもプレミアがついているだろうな、
と思って Amazon で見てみたら案外そうでもなく、
2012年には別のレーベルから再発されていた。


他の作品も意外な人たちが朗読していた。
ヒューイ・ルイスや兵藤ゆき沢口靖子立松和平といった辺りに時代を感じた。
プロコフィエフの『ピーターと狼』を明石家さんまが、
モーツァルトの『魔笛』を古館伊知郎が朗読していた。
ストラヴィンスキーの『兵士の物語』はなんと
巻上公一デーモン小暮閣下戸川純が朗読で
演奏が斎藤ネコとアンサンブル。
怖いもの見たさに聞いてみたい…


こういう企画ってもはや実現が難しいんだろうな。
プロデューサーがいないのか。企画力と実現力を兼ね備えた。
いや、いたとしても商品としてCDでは売れないのだろう。
CDでなくても他のパッケージでよさそうだけど
絵本にしては高くなるし、
ネットに流通させるとしてもおさまりが悪い。
カテゴリーの中に収まらないと商品として流通できない。
この国の文化的な生命力が落ちているのが、こういうことからもわかる。