「UNISEC」のこと

数年前から「UNISEC」という団体の歴史について、
創立から今に至るまでの話を月に1度か2度、伺っている。


UNISECとは「University Space Engineering Consortium」の略。
http://www.unisec.jp/
宇宙工学を学ぶ学生たちの集まり。
2003年にNPO法人として設立され、今や50を超える大学の研究室・団体が加盟している。
学生会員はそろそろ1,000人の大台へ。
法人会員も受け付けていて、社会人のOB会もある。


宇宙工学も広いけど、そのうち超小型衛星(Cube Sat)の開発がメインとなる。
各研究室でそれまで独自に開発してきて、先生同士のつながりに頼っていたものが
学生主体のネットワークとして確立された。
部品の共同購入や無線の周波数の共同申請、ノウハウの共有を行っている。
その理念として日本のあるいは世界の、宇宙開発に役立つ人材を育てたいという思いがある。


そこから2011年には「UNISEC国際委員会」(UNISEC GLOBAL)が設立された。
宇宙工学を学ぶ学生のいる国を100カ国に広げるという目標を掲げている。
毎年シンポジウムが開催され、世界中の学生・研究者が集まる。


超小型衛星の前段階として「缶サット」の開発演習、打ち上げ実験を奨励している。
学生たちはまずこの体験から多くを学ぶ。
ジュースの空き缶サイズの超々小型衛星を開発して、気球から落とすかロケットで打ち上げる。
開発キットも販売されていて、高校生向けに毎年の「缶サット甲子園」というイベントが定着した。
自作する大学生たち向けにはネバダ州での打ち上げイベント「ARLISS」もある。
日本の学生たちが運営し、現地のアマチュアのロケット打ち上げ愛好家たちにサポートしてもらっている。


1998年、ハワイで開かれた「大学宇宙システムシンポジウム」にて
スタンフォード大学のボブ・トゥイッグス教授の呼びかけに応える形で
1999年、東大・東工大による初の缶サット打ち上げがなされた。
以来15年。ノウハウも蓄積され、海外の学生・研究者への普及のため
2011年より「CLTP」(Can-Sat Leadership Training Program)が毎年執り行われている。
今回が6回目。数日前から今正に実施されている。


超小型衛星の方では例えば、2011年・2012年にUNSECは
「ミッション・アイデア・コンテスト」を開催した。
超小型衛星の利用方法について広くアイデアを求めるというもの。
その小ささゆえに地震予知や水位計測(川の氾濫を知る)など多彩な活用方法が考えられる。


打ち上げに当たっては宇宙空間となるためさすがに大学で自前を用意する、というのは無理。
日本だと種子島宇宙センターアメリカだとケネディ宇宙センター
ロシアのバイコヌール宇宙基地などで打ち上げられるロケットの隙間に入れてもらうことが多い。
(コンテナの中心に気象観測などの人工衛星を入れた、その隙間)
これを見つけるのが大変で、打ち上げ機会を待っている超小型衛星が世界中で順番待ちとなっている。
この辺りは教授がコネを持っているかどうかが大きいのか。
UNISECでは全世界の打ち上げを把握して全てを取りまとめることはさすがに無理で
JAXAが打ち上げるロケットの中に積み込む超小型衛星のとりまとめなどを行っている。


缶サットの打ち上げならば
北海道の大樹町や伊豆大島秋田県能代市和歌山県加太市などに射場がある。
能代市は町おこしの一環として「能代宇宙イベント」を主催している。
大樹町の射場ではかつてホリエモンのロケット打ち上げがなされたが、失敗に終わった。


関心の高まり、会員の増加はよいのだが、様々な課題がある。
例えば「スペースデブリ」(宇宙ゴミ)の問題。
映画『ゼロ・グラヴィティ』でも宇宙ステーション大破の原因となっていたが、
用済みとなった膨大な人工衛星やロケットの残骸が宇宙空間に漂っている。
超小型衛星はその存在そのものがデブリではないかと主張する人たちもいる。
超小型衛星開発の意義や理念を再度、広く知らしめる時期に来ていると言えるだろう。


…本当はもっと上手くまとめなければいけないんだけど
今日はこの辺で。