腎臓の病院へ 後編

28日のこと、続き。
9時半。専門の先生に診てもらうのが14時。時間があく。
待合室にずっといるのもなんだかいい気がしない。
映画館に行っても頭に入らないだろう。
なんだか落ち着かなくて電車に乗って家に帰ることにする。


クリーニング屋へ。Yシャツを出す。
7月末に出したオープンシャツが見つからないと探してもらうが、
データを見てもらったら返却済みとのこと。
そんなわけはないと思いながら家に戻ったらあっさり見つかった。
立体だと思い込んでいたんだけど、
折り畳みになっていたのでいつもとは別の場所にしまっていた。


家を出ると突当りの先日更地になったところの前に何人か集まっていた。
業者の方が図面を見ている。買い手がいて、家が建つらしい。
数日前から「陥没注意」「大型トラック進入禁止」と手書きの看板が立っていた。
この前水道管が外れて陥没、工事したところとは別の個所に
その可能性が出てきたということか。


渋谷に出る。bunkamura の奥へ。
faceook の広告で最近よく見かける「卵でとじないカツ丼」を食べに行ってみる。
8席だけの小さな店。先客ありだけど行列ではなかった。
カツを揚げる音、卵でとじる音。すぐ出てくる。
うーん、タレがてんやレベルだな…
BEAMS が歩いてすぐだった。
レコファンで Skakespears Sister と Mercella Detroit の中古を買う。


山手線で新宿へ、新宿線に乗り換えて曙橋へ。
13時半に病院に到着する。
最初のうちは本を読んでいたが、そわそわしてそのうちに閉じる。
14時を待つ。なかなか呼ばれない。
窓口に聞いてみるとあと4組。先生の診察の入りが遅くなったらしい。
外の待合室から中の待合室へ。一組ずつ呼ばれる。
5分ぐらい出てくる人。20分ぐらいかかる人。
何もせず、自分の番号が呼ばれるのを待つ。
何もせず、目の前の待合室を見つめながら自分の番号が呼ばれるのを待つ。
結局、呼ばれたのは15時前。


診察を受ける。
先生は MRI を見て、ガンの確率は80%ですとためらわず言う。
ガンであるかどうか見極めるために
幹部に針を刺して腫瘍の一部を取り出して判定することも可能だが、
あくまで一部分のため、見誤る可能性が5%。
手術するとした場合、
今の大きさは2cm程度、外側に広がっている状態であって
無事の部分が多いため部分切除で済む。
どうしますか? と聞かれて僕は手術すると即答した。
先生には経験を積んだ者だけが持つ説得力がにじみ出ているように感じられた。
この先生が手術するなら大丈夫、そう思った。


放射線治療は効果なし。
手術は開腹、腹腔鏡、ロボットアームと選択肢があるが、
腫瘍が背中側にあって腹腔鏡だと難しい、
ロボットアームは保険がきかないとのことで開腹へ。
そこから先はあっさり手術の予約が進んでいく。
空いている中で一番早い日ということで9月の後半に決まる。
来週の金曜、血液や尿の採取など事前の検査を行う。
全身に転移がないかCTスキャンで調べる。
合わせて先生と面談をして入院と手術のことを聞く。
これは家族の同席が可能。
手際よく物事が進んでいって、
最後処置室で看護婦の方にCTスキャンを受けるにあたっての
造影剤の投与について話を聞いて、この日は終わる。


会計は窓口に呼ばれるのではなく
専用の端末に診察券を差し込むと金額が表示されて、
それを入金するというものだった。
合理化が進んでいる。


この日は健診センターでの血液検査の結果を聞くことになっていて
予約の時間は過ぎている。電話して待っていてもらう。
東西線に乗り換えて日本橋へ。
健診センターは他に患者はなく、掃除を始めていた。
先週紹介状を書いてもらった先生と面談。
手術することになったと報告する。
全摘? と聞かれて部分切除と答えると、
そうか…、それも可能なのかと。
そういえばこの先生は同じ病院で腎臓の手術を受けて全摘だった。
改めて、早く見つかってよかったという話になった。


一通り妻に連絡する。
金曜の入院前の診察は同席するという。
会社の方にもあらましを伝えた。


手術自体の難易度は高くないし、その後はこれまで通りの生活が可能。
この状況では最良の結果になったか。
東京駅を歩く。曇り。8月にしては涼しい。