「世界ビックリ人間大集合」

昨日は仕事を終えて路線が同じ後輩と一緒になって
武蔵小山で下りて、「晩杯屋」という立ち飲み屋に入った。
持つ煮や名物というハムカツを食べながらビールやゴールデン焼酎のサワーを飲んだ。
途中から妻が合流。
この店、再開発で今は仮店舗なのだが、
昔路地裏にあった頃はもっと味わいがあったのだという。
たいがいのつまみが100円台で安い。
金曜の夜ということもあって1階・2階とある広い店内がずっと満席。
隣のグループと肘のぶつかる狭さの中で飲んだ。


夜遅くまでいろいろと取り留めなく話していた中で、
ふと思い出して話したこと。


今はもうないのだろうけど、
かつて「水曜スペシャル」だったか「木曜スペシャル」とかいう名前で
愛川欽也が司会で19時から2時間枠の番組があった。内容は毎週変わる。
そのうちのひとつに、半年に一度か一年に一度
「世界ビックリ人間大集合」というのがあった。
インドから呼び寄せた世界一爪の長い人が右手(だったか左手)を
色鮮やかな布で覆って登場し、司会が一通り紹介して
ゲストがコメントを述べたのちにジャジャーンと布を取る。
クルクルと丸まった5本の爪が現れる。
カメレオンを思わせた。


例えば、そんな感じで。
あるとき、その次に登場したのが世界一年の離れた夫婦だった。
80代か90代の老婆と20代の大学生。
アパートで隣り合って、日々接しているうちに愛が芽生えたのだという。
ふたりは並んでステージの上に立っている。
見方によってはとても美しい話なんだけど、
「世界ビックリ人間大集合」じゃなあ…
番組のタイトルや趣旨をちゃんと聞かされていたのだろうか。
楽屋で他に待っているのは世界一の怪力男とかそういうのなのだ。
航空券とホテルを出してくれるということで
ついつい来てしまったのか。


その後ふたりはどうしただろう。
僕が小学生の頃だから80年代だ。
男子学生も少なくとも50代にはなっている。
あれから30年がたって、地球の反対側に住むサラリーマンが夜
安い酒を飲みながら話題にしていたとは思いもよらない。
アンディ・ウォーホルは言った。
「人間は誰でも15分間だけ、有名人になることができる」