YOUは何しに日本で

予定のない金曜の夜、早く帰ってきてごはんの後はテレビを。
前から気になっていた NHK の『ファミリーヒストリー』を初めて見た。
ドランクドラゴン塚地武雅だった。
や、これはいい番組だ。こういう身近なドキュメンタリーはいい。
祖父の人生。祖母の人生。父母が出会い、結婚する。
3部構成で描くは在りし日の日本の姿。


その前に見たのが千原せいじの『世界の村で発見! こんなところに日本人』
「YOUは何しに外国へ」とでもいうか。
この日は南米グアテマラで出会って結婚して、その後アフリカのギニアに渡った夫婦。
夫の方の人生がある意味凄かった。


青年海外協力隊だったか。30半ばでグアテマラでブラブラしていたところ
20代前半の女性と「運命の出会い」をして、勢いで結婚。
千原せいじも突っ込んでたけど、「よく両親はこんなやつ許したな〜」と。
グアテマラで通訳をして暮らしていたらあるとき、
グアテマラの人は甘いものが好きだからクレープ屋をやったら受けるんじゃないかと
それまで作ったこともなかったのに器具を取り寄せて
見よう見まねでやってみたらなんと当たってしまった。


そのクレープ屋を1年でやめて日本へ。
両親も年老いて側で暮らしたいと。
故郷埼玉で職を探していたらなぜかギニアのミネラルウォーター工場の工場長へ。
「普通、埼玉で探して沖縄に職が決まることなんてあらへんで!
 日本でもそんなことないのになんでアフリカやねん!!
 それよりご両親の世話はどこいったんや!?」
「はあ、元気だったのでまあいいかと」
で、今アフリカに住む日本人として豪邸に住んでいる。
ゆったりとしたソファーに腰かけて千原せいじのツッコミを受け流す。


「おまえクズや!」「おまえのことをクズって言うんや」と何度も言われていた。
僕もそう思った。こんなのありえへん。適当すぎる。
でもまあこういうのも才能なんだろうな。ある意味天才。
ひょうひょうとしているうちに、あれれ? といい目に会っている。
確かにこういう人、いる。
特に海外に出てふらっとしていうちに日本に戻ってこなくなったような人たちに。


日本で暮らしていると
住宅ローンをどうするのか、車のローンをどうするのか、教育ローンをどうするのか、
子どももいないし車がなくてもそんなことで目先が狭くなっていってしまう。
身軽になりたいと思っていてもなかなか難しい。
僕も今そこにはまりつつある。他のことが何もできなくなっていく。
そうだよなあ、グアテマラでクレープ屋でもいいんだよな。
日本社会の常識というやつに囚われていたら
99%の人はその一員を構成することで一生が終わる。


そんなことでいいのか、と彼は問いかけたりしない。
千原せいじと気の強そうな奥さんにどんだけ突っ込まれても
ただニコニコと笑っているだけ。
本当に強いのはこういう人か。